Phanteks Evolv Shift X レビュー

なかなかみかけない超縦長さに惹かれたMini-ITXケースのPhanteks Evolv Shift X(紹介記事)が10/10届いたので早速遊んでみた。





スペック



一応スペックを。

サイズ170 mm x 650 mm x 274 mm
重さ9.5kg
対応マザーMini-ITX
電源SFX, SFX-L, ATX(160mmまで)
拡張スロットPCI x2
ドライブベイ2.5' x4, 3.5' x2 ※ラジエータを使用しない場合
搭載可能ファン (フロント)140mm x3 (280mmライジエータまで搭載可)
搭載可能ファン (底面)140mm x1 (120mmラジエータ搭載可)
CPUクーラー高さ82mmまで
GPU長さ529mmまで




構成



今回作る構成はこんな感じ。

CPUIntel Core i7 7700K (4C/8T)
メモリDDR4-4000, 2ch 16GB (Corsair CMK16GX4M2B4000C19R)
マザーAsrock Fatal1ty Z270 Gaming-ITX/ac
GPUGigabyte GTX 1080 G1 Gaming 8G
ケースPhanteks Evolv Shift X
冷却Thermaltake Water 3.0 Riing Edition 280
SSD1Plextor PX-256M6Pro
SSD2Sandisk SDSSDXPS480G
SSD3Sandisk SDSSDHII480G
SSD4Sandisk SDSSDHII480G
電源Enermax EPM600AWT



天板部分の外見はこんな感じだが、



押すとこの屋根が開いて中が見えるようになる。



この中に手回しねじでねじ止めがされていて、このねじを外すことで、四方の板(蓋)を外すことができる。側面のうち、2方向は普通の板だけど、残りの2方向は今流行りの強化ガラスで、中が見えるようになっている。



取り外した空の状態で見ると、こんな感じ。まずは上面。こちらにマザーボードのIO面が来る。



こちらは側面。こちら側の下部に電源を取り付ける。



底面には吸気のための14cmファンが1つ、側面上部には排気のための14cmファンがこちらも1つ搭載されている。



本体上部にMini-ITXのマザーボードを装着できるようになっている。GPUはPCIex16ライザーケーブルを通して、マザーボードの裏側に装着できるようになっている。



底面は取り外すことができて、ここからの吸気が想定されているので、ここに防塵フィルタが装備されている。



この防塵フィルタはスライドして取り外すことができる。(ややかたいが)



台の幅を多少変えることができて、



やや広げるとこんな感じ。



Evolv Shift Xはあまりに背が高く安定性に多少難があるので、地震のことを考えれば、ここは広げておいたほうがいいと思う。



電源の装着



電源は今回はEnermax EPM600AWT 600Wを流用した。スペックはこんな感じ。



Evolv Shift Xの電源は、基本はSFXだが、ATX電源でも160mmまでは入るとされていて、Enermax EPM600AWT 600Wは、ちょうど160mmで数字の上でもぎりぎり入りそうだったので、試してみた。ただ、あとで書くと思うけど、もし新たに電源を買うのなら、間違いなくSFX電源にしといたほうがいいと思う。ATX電源だと、いろいろ無理があることがわかった

とりあえずおいてみると、やはり数字通りぎりぎりだ。あとすこしで上部の凹みに当たってしまいそうで、これ以上長い電源は確かに設置できないことがわかる。



ここでは、ファンがケースの内側を向くようにした。これは、ケースのネジの配置を合わせたらそうなったからなのだけど、あとで書くかもだが、エアフロー上、このファンを内側に向けるのもあまりよくなくて、どちらかというとファンは外を向くようにしたほうがいいと後から思った。SFX電源だと、ネジを合わせれば自然とケースの外を向くはず。



ネジ止めは、ケースの底面側から行う。この状態だと、一応4点ネジ止めできている。



一応と言うのは、電源のコードを挿す部分の右上側のでっぱりが若干ケースと微妙に干渉して、無理やり押し込んだ状態になっている。ほかのATX電源で試したが、同じような感じだったので、ATX電源はやはり多少無理があるのかもしれない。



ディスク (SSD)の取り付け



SSDなどの2.5インチドライブは、本体側面に取り付けることが可能で、スペック上は4枚取り付けられることになっている。ケースの外側の板との隙間の位置に写真のようにブラケットを介して2枚、



そして、ケースの内側に2枚、同じようにブラケットを使って写真の位置に取り付けることができる…らしい。



らしい…というのは、完全にはまったのだが、このブラケット(PH-SDBKT_01という型番)、標準では2個しかついてこないのであった…。なんだそりゃ…。

完全に見落としていた…。確認は大事ですね。

というわけで、もうしょうがないので、適当にぶら下げておくことにした。まあ、HDDじゃないんだしなんとかなるでしょ…。





ラジエータの取り付け



SSDを取りつけたのと反対側、ケースの下の方にに280mmまでのラジエータを取り付けることができる。今回は、GPUの簡易水冷化に挑戦した際に、チューブの長さが足りず使えなかったThermaltake Water 3.0 Riing Edition 280を使用した。



Evolv Shift Xの冷却思想は、基本的に下から吸って上に吹き上げる形なので、このラジエータでは吸気をすることになる。こうすると、常に外気で冷やされるラジエータは冷えやすいだろうが、熱をもらった空気がケース内に送り込まれる形になってしまうので若干気になるのだが、まあ、ここはEvolv Shift Xの冷却思想に従うことにした。





マザーボードの取り付け



ケースの上部にMini-ITXマザーを設置する。この写真だと、写真左側がケースの上側。奥に唯一の排気ファンとなる140mmファンが見えている。どうも付属のファンは回転数がもともとかなり低いみたいだったので、これはケース付属のものからThermaltake Riing 14 RGBに交換した。



反対側からの写真。写真右側がケースの上側。GPU用のPCIeライザーケーブルがあるので、これをPCIeスロットに接続する。



この前使ったグリス(Thermal Grizzly Hydronaut)の残りを使って、水冷ポンプを取り付けた。





簡易水冷のチューブの長さの関係で、これ以外の位置関係での設置は難しいと思う。この設置は問題があって、ポンプがラジエータよりも上に来てしまうので、ポンプに空気の泡が流れ込みやすくなってしまい(いわゆる「エア噛み」)、あまり冷えなかったり、水冷ポンプの寿命が縮んだりしそうなのだけど、正直このケースではどうしようもない。

まあ、簡易水冷をターゲットにしているEvolv Shift無印と違い、Evolv Shift Xは本格水冷をターゲットにしているようなので(本格水冷の冷媒タンクを固定するブラケットまで付属する)、本格水冷なら自由にチューブを引き回せるのであまり気にしていないのかもしれない。(と思ったら簡易水冷をターゲットにしているEvolv Shift無印も同じようにポンプが上に来る設計みたいなんだけど、いいのかそれで…)



GPUの取り付け



GPUはマザーボードの裏側に設置する。今回、使ったのはGigabyte GTX 1080 G1 Gaming 8Gで、こんな3連ファンの結構長いやつ。



これを、こんな感じでらくらく入れることができる。



…と思ったら冷汗かいたのがこれ。



すっかり電源コネクタのことを忘れていて、簡易水冷のラジエータと干渉する位置に来ていた。一度ラジエータを取り外して、電源コネクタをつけると、ファンの微妙な凹みのところを電源ケーブルを通すことができて、「取り付けられない」という最悪の事態は避けることができた。ただ、電源コネクタの位置があともう少しずれていたら、やはりファンと干渉して取り付かられなかったはずで、危ないところだった。





冷却ファンについて



ケースの側面には、下にラジエータ(吸気)が付き、上には排気のファンがつくという形になる。



この面には、写真のような板(覆い)をするのだが、排気の温まった空気が吸気と混ざりにくくするように、しきり板が覆いに取り付けられるようになっている。



ちなみにこのしきり板、取り外し可能で位置を変えられるようになっている。



側面の板(覆い)と側面との隙間はこのぐらいで、ここにも防塵フィルタがついていて、これを通して空気が流れるようになっている。ただ、いかんせん狭いので、風量はそれなりに制限されているように思う。





完成!



運転してみるとこんな感じ。ラジエータの2基と排気の1基の合わせて3基のThermaltake Riing 14 RGBを並べたため、非常に綺麗に光っている。また、ケーブルなどもマザーボード付近のスペースに押し込むことができているため、比較的スッキリして見えていい感じ。ただ、まあいつものことだけど、すっきりさせるにはSSDやらファンやらのごちゃごちゃしたケーブルを束ねたりする必要があって、それはまあ、それなりに手間がかかった。



ケースの2面は強化ガラスなので、最近流行りの「光り物」を活かせるケースだと思う。



電源を入れると天井のふたも光る。手前のスイッチが電源。



上に様々なコネクタが来て、ここからUSBやHDMIなども引き出すことになる。背が高いところからケーブルを引っ張ることになるため、長いケーブルが必要になるというデメリットはあるけれど、PCの背面にあるのと比べると非常にアクセスし易い。





感想



縦長の非常に面白いデザインに惹かれて買ってしまったのだが、なかなか楽しめたし、買ってよかった思う。

背が高いケースというのがそもそも面白かったし、それによって比較的広い空間が使え、このサイズとしては280mmラジエータの搭載ができるのも凄いと思う。ケーブルを収納するスペースとか、ケーブルを固定するバンドであるとかもきちんと用意されていて、最近のPCケースらしく、魅せるPCにするための配慮が結構されているのかなと思う。個人的にはファンを光らせてガラス板も活かせたかなと。

背が高いと実際に置いたときに圧迫感があるかなと思ったけど、やはりスリムだからか、そうでもなかったのもよかった。

PCの組み立て自体は4面すべて外れることもあって、比較的やりやすかった。縦型というあまりない形に戸惑うことはあったけど、Mini-ITXケースというと四苦八苦しながら、時には手を切って血を出しながら戦うイメージだが、全くそんなことはなく、比較的簡単に組み込むことができた。

逆に問題の一つは、背が高いということで、物理的な安定性が気になるところだけど、重い電源は下にあるし、他にも比較的下部が重く作られているようで、それなりに安定はしていて、ちょっと揺すったらコケるという感じではない。ただ、強く揺すればる程度ぐらつくので、強い地震が来たら危ないとは思う。まあ、PC自体は倒れても別にいいのだけど、まわりを巻き込むのがなあ…、ということで一応机に置くときにはケースの足に透明な耐震ジェルをつけてみた。まあ気休めかもしれないけど。

あとはまあ、さっき書いたように、しかたないとは言え、簡易水冷のポンプがラジエータより上に来てしまうのが気になるところ。



エアフローとか、実際にCPU/GPUに負荷をかけた時の温度とかはまた次の記事で。


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