Braswell (Celeron N3150)の実力
Asrock N3150B-ITXを買ったので、いろいろ調べた。
※(2015/06/21 21:17) DXVAデコードについて追記。
※(2015/06/30 22:00) DXVAデコードについてさらに追記。
Asrock N3150B-ITX
N3150B-ITXはCerelon N3150がオンボードでついてくるMini-ITXボード。


Mini-ITXはさすがに小さい。
構成
Win 10 Technical Preview x64 日本語版 ビルド10033
Asrock N3150B-ITX
DDR3-1600 SO-DIMM 8GB (CL=11)
Intel SSD 520 (240GB) [流用]
Jonsubo U2 [流用]
今回の買い物
Celeron N3150
Celeron N3150は、Celeronという名前だけど、CPUとしてはAtomの系列にあたるBraswell。ようはSilvermontの14nm版。これが4コアと、12EUのIntel HD Graphicsがついてくる。
そのうち、よりクロックが高く、GPUも16EUとなるPentium N3700搭載ボードも出るらしいので、もっとパフォーマンスが必要なら、それを待ったほうがいいかもしれない。
CPU-Z

2.08GHz動作時は、1.08V。本来ならもう少し落とせるのでは、という気がする。電圧の設定などはできないので、確かめようがないけど。L1 Dataは24KB、ちょっと変わった数字だ。
ベンチマーク
比較したもの
※ただし、i7 4610Yはタブレットに搭載されているものであり、TDP=6~7.5Wの制限がかかっていて、2.9GHzで動作することは少ない。
メモリ速度
ここで作ったプログラムで測定。
スレッドごとのメモリ速度

DDR3-1600の2chなので、理論帯域は25.6GB/sなのだけど、なんかえらい遅い気が…。同じメモリ構成のi7 4610Yとかなり大きな差がある。3スレッド目で速度が伸びるのは、Silvermontは2コアを1モジュールとする構成なので、2モジュール目を使い出すのが3スレッド目からだからかもしれない。1モジュールだけだと5GB/s弱が限界なのだろうか。
こうしてみるとやはり徹底して省電力向けのCPUであり、本来メモリはDual channelでなくてもいいのかな、という気がする。
キャッシュ・メモリ速度

N3150は24K x 4 = 96KまでがL1キャッシュ、2MBまでがL2キャッシュとなる。遅いけど、cycleあたり16byte read or writeなので、まあこんなものかも。
x264/x265
使用ソフト
Aviutl 1.00
lwinput.aui
x264guiEx 2.30
x265guiEx 3.60
x264 rev2538 x64 8bit / 10bit
x265 1.7+199 x64 8bit / 10bit
ソース
H.264 1920x1080p 10.5Mbps 23.976fps 2154フレーム
x264設定
--crf 21 --preset slow
x265設定
--crf 21 --preset slow
計測
一発勝負
結果


タブレットのi7 4610Yよりやや遅い、ぐらい。てかx265は遅すぎ…。まあこのCPUでエンコードは普通さすがにしないか…
QSVEncC
使用ソフト
Avisynth+ r1576
LSMASHSource.dll
QSVEncC 2.09β9 (x86)
ソース
MPEG2 1920x1080p 10.6Mbps 29.97fps 5203フレーム
H.264 1920x1080p 25.1Mbps 23.976fps 2293フレーム
QSVEnc エンコード設定
--cqp 24:25:27 --benchmark result.txt --output-res 1920x1080 or 1280x720
計測
一発勝負
MPEG2デコード → H.264エンコード
棒グラフがエンコード速度、折れ線グラフがCPU使用率。

入力がMPEG2の場合、SWデコードとQSVデコードでは速度にさほど大きな差はない。
N3150Yはi7 4610Yより少し遅い程度で、EU数とGPUクロック、メモリ帯域が圧倒的に不足しているにもかかわらず、善戦している。i7 4610Yは、TDPの制限から、CPU/GPUのクロックが上がりづらいため、スコア差が縮まっているのかもしれない。特にSWデコードでは、i7 4610Yよりも速くなっている。
H.264デコード → H.264エンコード
棒グラフがエンコード速度、折れ線グラフがCPU使用率。

入力がH.264の場合、CPUが非力なものについてはQSVデコードとSWデコードの差が大きく、QSVデコードのメリットがはっきり出てくる。
MPEG2のとき同様、N3150は、i7 4610Yとだいたい同じくらい。
まとめ
BraswellはSilvermontを14nmにシュリンクしただけで、CPUは大きく変わってない。Silvermontはやはり省電力向けアーキテクチャなので、そのパイプラインも大規模なものではなく、Core i系統と比べるとIPCが格段に低いと予想される。また、実際に測ってみると、メモリやキャッシュ性能も決して高くはないことがわかった。
ただ、そのぶんファンレスで済むほど省電力だ(しかもヒートシンクはぬるい程度)。さらにx264/x265でわかるように、4コアをフルに動かせば、タブレット搭載でクロックが上がりにくいi7 4610Y(2コア)程度となら似たような性能なようだし、QSVなどもそれなりの速度が出る、という感じで、全体としてはそこそこの演算力があるように思う。
一方、通常のアプリの起動やブラウザなどでは、そのシングルスレッド性能の低さから、SSD搭載であるにもかかわらず、もっさりした感触が目立って、あまり快適とはいえない操作感になっている。やはり省電力コアなので、過度な期待は禁物だと思う。
というわけで、まあ当たり前なのだけど、まず省電力が重要な用途が正しい使い方なのだろう。省電力サーバーやNASもどきなどにはちょうどいいかも?
愚痴
ところで、Braswellの内蔵GPUは第8世代、つまりBroadwellと同じらしいのだけど…

えーと、
HEVCの10bitはどこいったんでしょうねえ…ぐぬぬ。
(ドライバはCD付属の4177)
もともとないのか、Win10だからいけないのか…謎。
Win8.1でもダメでした。

※(2015/06/21 21:17) DXVAデコードについて追記。
※(2015/06/30 22:00) DXVAデコードについてさらに追記。
Asrock N3150B-ITX
N3150B-ITXはCerelon N3150がオンボードでついてくるMini-ITXボード。


Mini-ITXはさすがに小さい。
構成
Win 10 Technical Preview x64 日本語版 ビルド10033
Asrock N3150B-ITX
DDR3-1600 SO-DIMM 8GB (CL=11)
Intel SSD 520 (240GB) [流用]
Jonsubo U2 [流用]
今回の買い物
買 | ← Asrock N3150B-ITX | -11000円 |
買 | ← DDR3-1600 4GBx2 SO-DIMM | -8000円 |
売 | → AMD A10-7850K | +9000円 |
売 | → G.skill DDR3-2400 4GBx2 | +5600円 |
売 | → Asrock FM2A-ITX+ | +4000円 |
Celeron N3150
Celeron N3150は、Celeronという名前だけど、CPUとしてはAtomの系列にあたるBraswell。ようはSilvermontの14nm版。これが4コアと、12EUのIntel HD Graphicsがついてくる。
そのうち、よりクロックが高く、GPUも16EUとなるPentium N3700搭載ボードも出るらしいので、もっとパフォーマンスが必要なら、それを待ったほうがいいかもしれない。
CPU-Z

2.08GHz動作時は、1.08V。本来ならもう少し落とせるのでは、という気がする。電圧の設定などはできないので、確かめようがないけど。L1 Dataは24KB、ちょっと変わった数字だ。
ベンチマーク
比較したもの
CPU | Celeron N3150 | i7 4610Y | i7 4770K |
---|---|---|---|
世代 | Braswell, 14nm | Haswell, 22nm | Haswell, 22nm |
コア数 | 4C/4T | 2C/4T | 4C/8T |
動作周波数 | 1.60 GHz | 1.70 GHz | 3.90 GHz [fix] |
(Turbo) | 2.08 GHz | 2.90 GHz | 3.90 GHz |
キャッシュ | L2 = 1MBx2 | L3 = 4MB | L3 = 8MB |
メモリ | DDR3-1600 2ch | DDR3-1600 2ch | DDR3-2400 2ch |
メモリ容量 | 8GB | 4GB | 16GB |
iGPU | 12EU, 640MHz | 20EU, 850MHz | 20EU, 1250MHz |
TDP | 6W | 6W~7.5W | 84W |
※ただし、i7 4610Yはタブレットに搭載されているものであり、TDP=6~7.5Wの制限がかかっていて、2.9GHzで動作することは少ない。
メモリ速度
ここで作ったプログラムで測定。
スレッドごとのメモリ速度

DDR3-1600の2chなので、理論帯域は25.6GB/sなのだけど、なんかえらい遅い気が…。同じメモリ構成のi7 4610Yとかなり大きな差がある。3スレッド目で速度が伸びるのは、Silvermontは2コアを1モジュールとする構成なので、2モジュール目を使い出すのが3スレッド目からだからかもしれない。1モジュールだけだと5GB/s弱が限界なのだろうか。
こうしてみるとやはり徹底して省電力向けのCPUであり、本来メモリはDual channelでなくてもいいのかな、という気がする。
キャッシュ・メモリ速度

N3150は24K x 4 = 96KまでがL1キャッシュ、2MBまでがL2キャッシュとなる。遅いけど、cycleあたり16byte read or writeなので、まあこんなものかも。
x264/x265
使用ソフト
Aviutl 1.00
lwinput.aui
x264guiEx 2.30
x265guiEx 3.60
x264 rev2538 x64 8bit / 10bit
x265 1.7+199 x64 8bit / 10bit
ソース
H.264 1920x1080p 10.5Mbps 23.976fps 2154フレーム
x264設定
--crf 21 --preset slow
x265設定
--crf 21 --preset slow
計測
一発勝負
結果


タブレットのi7 4610Yよりやや遅い、ぐらい。てかx265は遅すぎ…。まあこのCPUでエンコードは普通さすがにしないか…
QSVEncC
使用ソフト
Avisynth+ r1576
LSMASHSource.dll
QSVEncC 2.09β9 (x86)
ソース
MPEG2 1920x1080p 10.6Mbps 29.97fps 5203フレーム
H.264 1920x1080p 25.1Mbps 23.976fps 2293フレーム
QSVEnc エンコード設定
--cqp 24:25:27 --benchmark result.txt --output-res 1920x1080 or 1280x720
計測
一発勝負
MPEG2デコード → H.264エンコード
棒グラフがエンコード速度、折れ線グラフがCPU使用率。

入力がMPEG2の場合、SWデコードとQSVデコードでは速度にさほど大きな差はない。
N3150Yはi7 4610Yより少し遅い程度で、EU数とGPUクロック、メモリ帯域が圧倒的に不足しているにもかかわらず、善戦している。i7 4610Yは、TDPの制限から、CPU/GPUのクロックが上がりづらいため、スコア差が縮まっているのかもしれない。特にSWデコードでは、i7 4610Yよりも速くなっている。
H.264デコード → H.264エンコード
棒グラフがエンコード速度、折れ線グラフがCPU使用率。

入力がH.264の場合、CPUが非力なものについてはQSVデコードとSWデコードの差が大きく、QSVデコードのメリットがはっきり出てくる。
MPEG2のとき同様、N3150は、i7 4610Yとだいたい同じくらい。
まとめ
BraswellはSilvermontを14nmにシュリンクしただけで、CPUは大きく変わってない。Silvermontはやはり省電力向けアーキテクチャなので、そのパイプラインも大規模なものではなく、Core i系統と比べるとIPCが格段に低いと予想される。また、実際に測ってみると、メモリやキャッシュ性能も決して高くはないことがわかった。
ただ、そのぶんファンレスで済むほど省電力だ(しかもヒートシンクはぬるい程度)。さらにx264/x265でわかるように、4コアをフルに動かせば、タブレット搭載でクロックが上がりにくいi7 4610Y(2コア)程度となら似たような性能なようだし、QSVなどもそれなりの速度が出る、という感じで、全体としてはそこそこの演算力があるように思う。
一方、通常のアプリの起動やブラウザなどでは、そのシングルスレッド性能の低さから、SSD搭載であるにもかかわらず、もっさりした感触が目立って、あまり快適とはいえない操作感になっている。やはり省電力コアなので、過度な期待は禁物だと思う。
というわけで、まあ当たり前なのだけど、まず省電力が重要な用途が正しい使い方なのだろう。省電力サーバーやNASもどきなどにはちょうどいいかも?
愚痴
ところで、Braswellの内蔵GPUは第8世代、つまりBroadwellと同じらしいのだけど…

えーと、
HEVCの10bitはどこいったんでしょうねえ…ぐぬぬ。
(ドライバはCD付属の4177)
Win8.1でもダメでした。

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