タブレットPCでのTurbo Boostの挙動ほか
この前書いたVAIO Tap 11を使ってタブレットPCでのTurboBoostの挙動をチェックした。
Turbo Boostの挙動
K付きCPUで自作しているとあまり意識することはないけど、本来Turbo Boostは熱に余裕があるうちだけ、CPUの動作周波数を引き上げる仕組みだといわれている。
特に、薄型のタブレットPCでは冷却は難しい問題になってしまう。発熱の少ないSilvermontなAtomを搭載しているタブレットならともかく、2コアとはいえHaswellを搭載している場合には、負荷が高まった時には発熱はそれなりのものになるようで、VAIO Tap 11では単に自然放熱するのではなく、ちゃんと冷却用にファンが搭載されていて、負荷をかけるとそれなりに音がする。
本体がかなり薄いため、冷却機構も小型のものとなり、冷却力には限界がある。そうしたなかTurbo Boostで最大2.9GHzで動作するCore i7 4610Yが実際どのように動くのかを見ていく。
スペック / CPU-Z / GPU-Z
まずはスペックとCPU-Z、それからGPU-Zの情報から。



GPU名はIntel HD Graphics 4200というようで、4770KなどについているIntel HD Graphics 4600とは別の名前が付けられている。そのわりにはEU数は20と同じみたいなのだが、別の名前なのはやはりクロックが抑えられている(Max 850MHz)だからなのだろうか?
Turbo Boostの挙動
本題のTurbo Boostの挙動。
今回はCPUへの負荷としてprime95、GPUにも負荷をかけるものとしてQSVBenchmarkを実行して、その様子をOpen Hardware Monitorで観察した。
もちろんOpen Hardware Monitorの読みが絶対正しいか、というところはわからないけど、目安にはなるだろう、ということで。
prime95実行時


グラフからは、まず負荷をかけた直後には動作周波数が上がり、グラフ上では2.4GHzまで、瞬間的には最大値の2.9GHzまで上がっていることがわかる。CPUコア温度も65℃を突破し、CPU Package Powerも14.3Wとなっている。
ただ、この2GHz越えの状態は長くは続かない。10秒ほど負荷をかけ続けると、動作周波数が一気に下がり1.3~1.4GHz前後をうろうろするようになる。これにより、CPUコア温度は60℃弱に下がり、CPU Package Powerはきれいに7.5Wで安定する。
このように長く負荷が連続すると、自動的にクロックが引き下げられるようだ。(CPU-Z読みではこれと同時にCPU電圧も下降している)
QSVBenchmark実行時


先程と同様に、負荷をかけた直後は動作周波数が上がり、瞬間的には最大値の2.9GHzまで上がるものの、10秒ほど負荷をかけ続けると、動作周波数が一気に下がってしまう。
ただ今回はGPUにも負荷がかかるので、限られた電力をCPUとGPUで奪い合うことになる。負荷が連続的にかかってしばらく(10秒ぐらい)するとCPU Package Powerが7.5Wに抑えれれるのは先ほど同様だが、GPUが電力を喰うぶん、CPUの動作クロックはさらに抑えられて1GHzを割りこみ、800MHz~900MHzをうろうろ…。
このため、ベンチマーク結果はいまいちなものになっている。
タブレットPCのような冷却力が不十分なPCでは、Turbo Boostの高クロックで動く時間はごく短く、負荷をかけ続けると時として定格クロックさえも割り込んだ動作クロックとなってしまっているようだ。もちろん、この挙動によりCPU温度は自動的に適正な温度で抑えられている、とも言える。
また、QSVBenckmarkで試した時の結果から、この電力・温度管理がCPUとGPUを合わせたものとなっていることも確認できた。
Turbo Boostの意味
Core i7でTurbo Boost時に高クロックになると言っても、冷却力の不足しがちなモバイルPCでは、高負荷が連続すると高クロックを維持できないことがわかる。そのため、ベンチマークなどではいまいちな結果となってしまう。
ただ、そもそもTurbo Boostは、アプリケーションの起動のような瞬間的な負荷に対して一時的にクロックを上げ高速に処理してしまうことで、応答速度の改善が狙いなのかもしれない。
こういった応答速度の改善は、PC操作をかなり快適にするんじゃないかと期待できるので、たとえベンチマーク上のスコアが奮わないとしても、高クロックのTurbo Boostには実用上十分意味があると思う。
QSVBenchmark 結果
Environment Info
OS : Windows 8.1 (x64)
CPU: Intel(R) Core(TM) i7-4610Y CPU @ 1.70GHz [TB: 2.90GHz] (2C/4T)
GPU: Intel(R) HD Graphics 4200 (20 EU) @ 400 MHz (10.18.10.3355)
RAM: DDR3-1600 / 2 channel (Total 3991 MB / Used 1563 MB)
QSV: QSVEncC 1.19 (x86) / API[hw]: v1.7 / d3d9
TargetUsage ([TU-1]:Best Quality) ~ ([TU-7]:Fastest Speed)
Encode Speed (fps)
TargetUsage, 1920x1080, 1280x720
TU-1, 53.21, 83.21
TU-2, 61.20, 87.94
TU-3, 65.03, 89.74
TU-4, 85.45, 97.71
TU-5, 86.80, 99.13
TU-6, 90.92, 99.04
TU-7, 99.50, 99.99
完全にデコードがボトルネックとなっている…
まあ1GHz切った状態でのデコードだし、しゃーないか…。そもそもタブレットでエンコードというのはさすがに…
SSD ベンチマーク
VAIO Tap 11 512GB SSD 情報 & ベンチマーク
いつもどおりCrystalDiskInfoとCrystalDiskMarkでチェック。
VAIO Tap 11 512GB SSD CrystalDiskInfo

サムスンだと…ぐぬぬ。なぜ東芝でないのだ…
VAIO Tap 11 512GB SSD CrystalDiskMark

まあベンチマークはそれなり。SATA 6Gbpsなので、そこそこの速度が出ているし、実使用上もかなり快適で、Excel 2013の起動などもかなり高速。ただ、最近の高速SSDには及ばないし、一般的に東芝のNANDのほうが速いということなので残念ではある。
比較用 東芝 128GB SSD 情報 & ベンチマーク
環境
Win7 x64
Core i7 4770K @ 4.4GHz
Asrock Z87 Extreme4
DDR3-2600, 2ch, 16GB
東芝 128GB SSD CrystalDiskInfo

東芝 128GB SSD CrystalDiskMark

このぐらい出ると理想的だけど…贅沢かなあ。
Turbo Boostの挙動
K付きCPUで自作しているとあまり意識することはないけど、本来Turbo Boostは熱に余裕があるうちだけ、CPUの動作周波数を引き上げる仕組みだといわれている。
特に、薄型のタブレットPCでは冷却は難しい問題になってしまう。発熱の少ないSilvermontなAtomを搭載しているタブレットならともかく、2コアとはいえHaswellを搭載している場合には、負荷が高まった時には発熱はそれなりのものになるようで、VAIO Tap 11では単に自然放熱するのではなく、ちゃんと冷却用にファンが搭載されていて、負荷をかけるとそれなりに音がする。
本体がかなり薄いため、冷却機構も小型のものとなり、冷却力には限界がある。そうしたなかTurbo Boostで最大2.9GHzで動作するCore i7 4610Yが実際どのように動くのかを見ていく。
スペック / CPU-Z / GPU-Z
まずはスペックとCPU-Z、それからGPU-Zの情報から。
カスタマイズ | 標準 | |
---|---|---|
OS | Windows 8.1 (x64) | ← |
CPU | Core i7 4610Y (Haswell) | Core i5 4210Y |
Cores | 2C/4T | ← |
Clock | 1.7GHz | 1.5GHz |
Boost | 2.9GHz | 1.9GHz |
LLC | 4MB | 3MB |
TDP | 11.5W | ← |
GPU | Intel 内蔵 HD Graphics 4200 | ← |
Clock | 200-850 MHz | ← |
RAM | 4GB | ← |
Clock | DDR3-1600,Dual-Channel | ← |
ディスプレイ | 11.6型, fullHD (1920x1080) | ← |
その他 | 光沢, IPS, 10点タッチ対応 | ← |
画素密度 | 190 dpi | ← |
SSD | 512GB | 128GB |
DVD/BD | なし | ← |
入出力端子 | USB3.0, microHDMI, ヘッドホン, マイク, 赤外線 | ← |
有線LAN | なし | ← |
無線LAN | IEEE 802.11a/b/g/n/ac, 最大867Mbps | ← |
カメラ | 800万画素 / 92万画素 | ← |
その他 | Bluetooth 4.0 + HS, NFC | ← |
microSD, センサー(加速度, ジャイロ, 電子コンパス, 照度) | ← |



GPU名はIntel HD Graphics 4200というようで、4770KなどについているIntel HD Graphics 4600とは別の名前が付けられている。そのわりにはEU数は20と同じみたいなのだが、別の名前なのはやはりクロックが抑えられている(Max 850MHz)だからなのだろうか?
Turbo Boostの挙動
本題のTurbo Boostの挙動。
今回はCPUへの負荷としてprime95、GPUにも負荷をかけるものとしてQSVBenchmarkを実行して、その様子をOpen Hardware Monitorで観察した。
もちろんOpen Hardware Monitorの読みが絶対正しいか、というところはわからないけど、目安にはなるだろう、ということで。
prime95実行時


グラフからは、まず負荷をかけた直後には動作周波数が上がり、グラフ上では2.4GHzまで、瞬間的には最大値の2.9GHzまで上がっていることがわかる。CPUコア温度も65℃を突破し、CPU Package Powerも14.3Wとなっている。
ただ、この2GHz越えの状態は長くは続かない。10秒ほど負荷をかけ続けると、動作周波数が一気に下がり1.3~1.4GHz前後をうろうろするようになる。これにより、CPUコア温度は60℃弱に下がり、CPU Package Powerはきれいに7.5Wで安定する。
このように長く負荷が連続すると、自動的にクロックが引き下げられるようだ。(CPU-Z読みではこれと同時にCPU電圧も下降している)
QSVBenchmark実行時


先程と同様に、負荷をかけた直後は動作周波数が上がり、瞬間的には最大値の2.9GHzまで上がるものの、10秒ほど負荷をかけ続けると、動作周波数が一気に下がってしまう。
ただ今回はGPUにも負荷がかかるので、限られた電力をCPUとGPUで奪い合うことになる。負荷が連続的にかかってしばらく(10秒ぐらい)するとCPU Package Powerが7.5Wに抑えれれるのは先ほど同様だが、GPUが電力を喰うぶん、CPUの動作クロックはさらに抑えられて1GHzを割りこみ、800MHz~900MHzをうろうろ…。
このため、ベンチマーク結果はいまいちなものになっている。
タブレットPCのような冷却力が不十分なPCでは、Turbo Boostの高クロックで動く時間はごく短く、負荷をかけ続けると時として定格クロックさえも割り込んだ動作クロックとなってしまっているようだ。もちろん、この挙動によりCPU温度は自動的に適正な温度で抑えられている、とも言える。
また、QSVBenckmarkで試した時の結果から、この電力・温度管理がCPUとGPUを合わせたものとなっていることも確認できた。
Turbo Boostの意味
Core i7でTurbo Boost時に高クロックになると言っても、冷却力の不足しがちなモバイルPCでは、高負荷が連続すると高クロックを維持できないことがわかる。そのため、ベンチマークなどではいまいちな結果となってしまう。
ただ、そもそもTurbo Boostは、アプリケーションの起動のような瞬間的な負荷に対して一時的にクロックを上げ高速に処理してしまうことで、応答速度の改善が狙いなのかもしれない。
こういった応答速度の改善は、PC操作をかなり快適にするんじゃないかと期待できるので、たとえベンチマーク上のスコアが奮わないとしても、高クロックのTurbo Boostには実用上十分意味があると思う。
QSVBenchmark 結果
Environment Info
OS : Windows 8.1 (x64)
CPU: Intel(R) Core(TM) i7-4610Y CPU @ 1.70GHz [TB: 2.90GHz] (2C/4T)
GPU: Intel(R) HD Graphics 4200 (20 EU) @ 400 MHz (10.18.10.3355)
RAM: DDR3-1600 / 2 channel (Total 3991 MB / Used 1563 MB)
QSV: QSVEncC 1.19 (x86) / API[hw]: v1.7 / d3d9
TargetUsage ([TU-1]:Best Quality) ~ ([TU-7]:Fastest Speed)
Encode Speed (fps)
TargetUsage, 1920x1080, 1280x720
TU-1, 53.21, 83.21
TU-2, 61.20, 87.94
TU-3, 65.03, 89.74
TU-4, 85.45, 97.71
TU-5, 86.80, 99.13
TU-6, 90.92, 99.04
TU-7, 99.50, 99.99
完全にデコードがボトルネックとなっている…
まあ1GHz切った状態でのデコードだし、しゃーないか…。そもそもタブレットでエンコードというのはさすがに…
SSD ベンチマーク
VAIO Tap 11 512GB SSD 情報 & ベンチマーク
いつもどおりCrystalDiskInfoとCrystalDiskMarkでチェック。
VAIO Tap 11 512GB SSD CrystalDiskInfo

サムスンだと…ぐぬぬ。なぜ東芝でないのだ…
VAIO Tap 11 512GB SSD CrystalDiskMark

まあベンチマークはそれなり。SATA 6Gbpsなので、そこそこの速度が出ているし、実使用上もかなり快適で、Excel 2013の起動などもかなり高速。ただ、最近の高速SSDには及ばないし、一般的に東芝のNANDのほうが速いということなので残念ではある。
比較用 東芝 128GB SSD 情報 & ベンチマーク
環境
Win7 x64
Core i7 4770K @ 4.4GHz
Asrock Z87 Extreme4
DDR3-2600, 2ch, 16GB
東芝 128GB SSD CrystalDiskInfo

東芝 128GB SSD CrystalDiskMark

このぐらい出ると理想的だけど…贅沢かなあ。
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