Intel Arc A380のQSV画質比較 (2022.08) 実写編
※2022.08.11 22:15: Arc A380のエンコード速度について初出時には過小評価しており、修正を行いました。画質については、変更ありません。
この前Intel Arc A380をゲットしたので、現時点でのQSVの画質比較を行ったみた。
AV1 HWエンコードのテストも行っているが、現時点のoneVPLではあまりAV1関連パラメータは指定できないので、今後のAPIの整備やドライバの更新等により、状況は変化しうるので注意。まずは現時点での性能、ということで。
テストは、2月に行ったテストと同じものなので、Intel Arc A380以外については、2月の結果を流用している。
また、Arc A380については、3259 Betaドライバ(2022/7/29) を使用した。通常版のドライバは30.0.101.1743(2022/7/6)だが、このドライバではQSVがCQPモード以外まともに動かないので、QSVをしたい場合は現状3259ドライバのほうがよいと思う。
ただ、3259ドライバでもHEVCエンコーダは非常に不安定で、エラー終了することもちょいちょいあったので、HEVCに関しては今回のテストは参考程度ということになるかもしれない。
環境
エンコーダ
QSVEncC 6.08
QSVEncC 7.07 (DG2用)
NVEncC 5.43
入力動画
MPEG2 1920x1080 29.97fps 5203frame
AvisynthのLWLibavVideoSourceで読み込み (SWデコード)
使用コマンド
qsv H.264 (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4>
qsv HEVC (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> -c hevc
qsv HEVC 10bit (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> -c hevc --profile main10 --output-depth 10
qsv H.264 FF (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func
qsv HEVC FF (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c hevc
qsv HEVC FF 10bit (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c hevc --profile main10 --output-depth 10
qsv AV1 FF (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c av1
qsv AV1 FF 10bit (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c av1 --output-depth 10
nvenc H.264
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 --level 5.1
nvenc HEVC
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6
nvenc HEVC 10bit
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 --output-depth 10
nvenc HEVC + Bframes
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 -b 3
nvenc HEVC 10bit + Bframes
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 --output-depth 10 -b 3
bitrate-ssim
縦軸SSIMが高いほど画質がよく、横軸ビットレートが小さいほど圧縮できているので、左上にいればいるほど良いことになる。
※凡例の □ をクリックすると、グラフ線のオン/オフができます。
※マウスをグラフの 〇 のところにあてると、値が確認できます。
先ほども書いたが、ArcA380のHEVCエンコードは3259 Betaドライバでも不安定で、HEVC 8bitは特定のICQで異常終了、HEVC 10bitは全滅という状態だったので、HEVCの結果が不安定になってしまって、参考程度と見たほうがよいかもしれない。
QSVはH.264エンコードについては少なくともKabylake以降特に変化はなかったが、Arc A380のH.264エンコードは12900Kよりもさらに進化し、画質ー容量比が改善している。
HEVCについては、12900Kと比べて画質ー容量比が悪化しているが、そもそもあまり安定していない以上、これが本当の実力なのかは怪しいところ。後ほど公開するアニメ編では、HEVCエンコーダについても改善が見られた。
AV1エンコードについては、第1世代ということもあるのか、HEVCより画質ー容量比が悪く、H.264とだいたい同程度ぐらいになっている。このあたりはドライバやoneVPL APIの更新等で改善に期待したいところ。
bitrate-fps
今度は縦軸をエンコード速度(fps)にとったもの(対数軸)。
※凡例の □ をクリックすると、グラフ線のオン/オフができます。
※マウスをグラフの 〇 のところにあてると、値が確認できます。
Arc A380のH.264エンコードの速度はqualityで250fps前後、normalでは360fps前後と非常に高速。
Arc A380のHEVCエンコードの速度は、不安定だったのでこれを実力とみていいのかはあるが、12900KのPGよりはだいぶ速く、ただ、FFよりはやや遅い中間ぐらいの速度で、preset=qualityで220fps前後、normalで270fps前後となっている。
Arc A380のAV1エンコードの速度は、8bitは230fps以上と比較高速なものの、10bitだとやや遅く180fps程度となっている。
あとはまあ、全体的にArc A380のエンコード速度は安定していないのが若干気になる…。
というわけで、ひととおりIntel Arc A380のHWエンコード性能をチェックしてみた。
なぜかHEVCエンコードは不安定で困ってしまったが、H.264エンコードがさらに進化し、AV1エンコードの初代としてはそこそこのものとなっていることが確認できた。エンコード速度はなかなか優秀で、内臓GPUと比べかなり高速にエンコード可能な場面が多い。
HEVCについてはまずは安定して動くようになってほしいところ。AV1についてはドライバ等でもしかするとさらに改善の余地があるのかもしれないし(ないかもだが)、また次世代のハードウェアでの継続的な進化を期待したいと思う。
この前Intel Arc A380をゲットしたので、現時点でのQSVの画質比較を行ったみた。
AV1 HWエンコードのテストも行っているが、現時点のoneVPLではあまりAV1関連パラメータは指定できないので、今後のAPIの整備やドライバの更新等により、状況は変化しうるので注意。まずは現時点での性能、ということで。
テストは、2月に行ったテストと同じものなので、Intel Arc A380以外については、2月の結果を流用している。
また、Arc A380については、3259 Betaドライバ(2022/7/29) を使用した。通常版のドライバは30.0.101.1743(2022/7/6)だが、このドライバではQSVがCQPモード以外まともに動かないので、QSVをしたい場合は現状3259ドライバのほうがよいと思う。
ただ、3259ドライバでもHEVCエンコーダは非常に不安定で、エラー終了することもちょいちょいあったので、HEVCに関しては今回のテストは参考程度ということになるかもしれない。
環境
CPU | i9 12900K |
---|---|
コア数 | 8P+8E / 24T |
L2 Cache | 14MB |
L3 Cache | 30MB |
電圧 | Offset -0.13V~0.00V |
PL1/PL2 | 241W |
tau | 56s |
IccMax | Unlimited |
メモリ | DDR4-3600 2ch |
メモリ容量 | 8GBx4 |
タイミング | 16-19-19-39-1 |
メモリコントローラ | Gear1 |
iGPU | Intel UHD Graphics 770 (32EU) (ドライバ: 30.0.101.1191) |
dGPU | Intel Arc A380 (128EU) (ドライバ: 30.0.101.3259 Beta) |
dGPU | NVIDIA Geforce RTX 2070 (ドライバ : 497.29) |
マザー | MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4 |
冷却 | Corsair iCUE H150i RGB PRO (360mm) |
電源 | Seasonic FOCUS PX-750 |
ケース | Themaltake Core V71 |
OS | Windows 11 22000 |
エンコーダ
QSVEncC 6.08
QSVEncC 7.07 (DG2用)
NVEncC 5.43
入力動画
MPEG2 1920x1080 29.97fps 5203frame
AvisynthのLWLibavVideoSourceで読み込み (SWデコード)
使用コマンド
qsv H.264 (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4>
qsv HEVC (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> -c hevc
qsv HEVC 10bit (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> -c hevc --profile main10 --output-depth 10
qsv H.264 FF (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func
qsv HEVC FF (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c hevc
qsv HEVC FF 10bit (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c hevc --profile main10 --output-depth 10
qsv AV1 FF (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c av1
qsv AV1 FF 10bit (-u 1:quality, 4:normal)
--icq <x> -u <1,4> --fixed-func -c av1 --output-depth 10
nvenc H.264
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 --level 5.1
nvenc HEVC
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6
nvenc HEVC 10bit
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 --output-depth 10
nvenc HEVC + Bframes
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 -b 3
nvenc HEVC 10bit + Bframes
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 --output-depth 10 -b 3
bitrate-ssim
縦軸SSIMが高いほど画質がよく、横軸ビットレートが小さいほど圧縮できているので、左上にいればいるほど良いことになる。
※凡例の □ をクリックすると、グラフ線のオン/オフができます。
※マウスをグラフの 〇 のところにあてると、値が確認できます。
先ほども書いたが、ArcA380のHEVCエンコードは3259 Betaドライバでも不安定で、HEVC 8bitは特定のICQで異常終了、HEVC 10bitは全滅という状態だったので、HEVCの結果が不安定になってしまって、参考程度と見たほうがよいかもしれない。
QSVはH.264エンコードについては少なくともKabylake以降特に変化はなかったが、Arc A380のH.264エンコードは12900Kよりもさらに進化し、画質ー容量比が改善している。
HEVCについては、12900Kと比べて画質ー容量比が悪化しているが、そもそもあまり安定していない以上、これが本当の実力なのかは怪しいところ。後ほど公開するアニメ編では、HEVCエンコーダについても改善が見られた。
AV1エンコードについては、第1世代ということもあるのか、HEVCより画質ー容量比が悪く、H.264とだいたい同程度ぐらいになっている。このあたりはドライバやoneVPL APIの更新等で改善に期待したいところ。
bitrate-fps
今度は縦軸をエンコード速度(fps)にとったもの(対数軸)。
※凡例の □ をクリックすると、グラフ線のオン/オフができます。
※マウスをグラフの 〇 のところにあてると、値が確認できます。
Arc A380のH.264エンコードの速度はqualityで250fps前後、normalでは360fps前後と非常に高速。
Arc A380のHEVCエンコードの速度は、不安定だったのでこれを実力とみていいのかはあるが、12900KのPGよりはだいぶ速く、ただ、FFよりはやや遅い中間ぐらいの速度で、preset=qualityで220fps前後、normalで270fps前後となっている。
Arc A380のAV1エンコードの速度は、8bitは230fps以上と比較高速なものの、10bitだとやや遅く180fps程度となっている。
あとはまあ、全体的にArc A380のエンコード速度は安定していないのが若干気になる…。
というわけで、ひととおりIntel Arc A380のHWエンコード性能をチェックしてみた。
なぜかHEVCエンコードは不安定で困ってしまったが、H.264エンコードがさらに進化し、AV1エンコードの初代としてはそこそこのものとなっていることが確認できた。エンコード速度はなかなか優秀で、内臓GPUと比べかなり高速にエンコード可能な場面が多い。
HEVCについてはまずは安定して動くようになってほしいところ。AV1についてはドライバ等でもしかするとさらに改善の余地があるのかもしれないし(ないかもだが)、また次世代のハードウェアでの継続的な進化を期待したいと思う。
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