10GbEの上限を目指す [ ADT-Link R42SF: M.2 → PCIe3x4 変換ライザーカード ]
ここ最近、録画PCのHDDをSSDにしたりして静音化を行ってきた。このPCは録画PCとしてだけでなく、ネットワークドライブにして簡易NASとしても使用している。
通常の1GbEでネットワーク内の他のPCからアクセスしているほか、Intel X550-T2による10GbEカードを追加していて、i9 12900KのPCと5950XのPCに接続している。
i9 12900KのPCにも10GbEカードを追加して接続しているが、これが10GbEをフルに活用しきれていなかったので、これを改善したという話。
アクセス側のi9 12900Kの構成はこんな感じで、ASUS XG-C100Cという10GbEカードを使用している。
どんな感じの速度だったかというとこんな感じで、Corsair Force MP510 1.92TB x2のディスクにアクセスして830MB/sが最大と、10GbEの上限1250MB/sからはかなり落ちてしまっている。まあ、このぐらいの速度でも問題はないけど、ちょっともったいない。

ネットワークを介さず、直接測定するとこんな感じなので、NVMe SSDなので速度は十分のはず。

なんで速度が落ちてしまっているかというと、本来PCIe3x4接続のASUS XG-C100CをPCIe3x1スロットにさしてしまっているから。
Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の拡張スロットはこんな感じで、一番下のスロットにASUS XG-C100Cをつけて使っていた。
PCIe_1: RTX2070
PCIe_2: 空き
PCIe_3: GTX1060
PCIe_4: ASUS XG-C100C

ところが、Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の拡張スロットのリンク幅は下記のようになっていて、一番下のPCIe_4はPCIe3x1で、やはり10GbEには帯域が足りなくなってしまっていた。

Z690マザーは全体的にPCIe帯域をM.2に振り分ける傾向が強く、PCIeスロットの帯域が狭かったり、そもそもPCIeスロットが少なかったりする。
10GbEをフル活用するには、とにかくPCIe3x4接続をしないといけない。GTX1060と入れ替えることも考えたが、今回はM.2からPCIe3x4を引き出すケーブルを使って、余っているM.2スロットを活用することにした。
使用した変換(ライザー)ケーブルはADT-Linkというところのこちらの15cmのもの。中国発送で1週間ちょっとで到着した。
全長は15cm。(ほかに10cm版と30cm版があるらしい)

M.2側にこちらの端子をつなぐ。

こちらがPCIe3x4側。補助電源(?)をつなぐ端子がある。

このPCIe3x4側にASUS XG-C100Cをつなげばいいのだけど、そのままではこのケーブルを接続できるスペースがない(マザーにぶつかるので)。
そこで、まずもともとのブラケットを取り外し、使っていなかった1GbEx4のLANカードの適当なブラケットにひっくり返して180°反対向きに取り付けた。このブラケットにしたのは、穴が大きく空いていて、ねじ穴に合わせて自由に位置を調整できるため。
本来のものではないので、ブラケット側はすかすかだが、まあ気にしない。

固定は長めのねじとウォッシャー、あとは結束バンドを使用した。やや無理やり感はあるけど、ぐらつくことなくしっかり固定できたのでよしとした。裏から見るとこんな感じ。

そして、これをPCに固定。M.2_2からケーブルを伸ばし、ちょうどPCIe_2の位置の上に設置。ケーブル長は15cmでぎりぎりなので、10cmを購入していたらアウトだった…。

変換ケーブルはかなり固めで取り回しは悪い。左右のGPUとの間隔は1スロット分なのでぎりぎり。油断すると右側のGPUファンと接触してしまうので注意する必要があった。

なお、このケーブルには給電用の補助電源端子が追加であるのだけど、今回はこの給電用のケーブルは使用しなくても問題なかった。もっと電力を食うGPUとかを付けたら必要になるのかもしれない。その場合には、1スロット分の厚みは間違いなく超えるので注意が必要。
HWiNFOで接続状態を確認すると、たしかにPCIe3x4で接続出てきていて、ひとまずうまくいったみたい。

この状態で、先ほどと同じようにベンチマークをするとこんな感じ。Corsair Force MP510 1.92TB x2のディスクにアクセスして1200MB/s近く出ていて、10GbEの上限近い速度が出るようになった。

参考までにRecieve Side Scaling(受信側スケーリング、RSS)のon/offと、Jumbo Packetの1.5K/9Kをそれぞれ試した時の速度はこんな感じ。微妙な差ではあるが、やはりセオリー通りJumbo Packetは可能なら9Kに設定したほうがよいようだ。
Sandisk SDSSDH3 4T00 4TBx3のほうにアクセスするとこんな感じで、こちらも10GbEの上限近く出ている。SATA SSDでも3枚束ねれば10GbEをフル活用できるようだ。

参考までに2.5GbEでアクセスした場合の速度も測った。アクセス側のPCは下記構成で、オンボードの2.5GbE (Realtek RTL8125) を使用した。
まずはCorsair Force MP510 1.92TB x2のディスクから。上限は300MB/sぐらいのようだ。

次にSandisk SDSSDH3 4T00 4TBx3のほう。

というわけで、無事10GbEの上限近い速度を引き出すことができ、性能をフル活用することができるようになった。もちろんPCIe3x4以上のスロットが空いていれば、そこにさせばよいわけだが、空いていない場合は今回のようなやや無茶なことをすればM2スロットに来ているPCIe3x4を活用しても性能を引き出せることがわかった。
ライザーケーブルに関しては、こうしたライザーケーブルは仕様や品質によってはデバイスを認識しなかったり安定動作しない場合もあるみたい。今回のケーブルはamazonの商品説明の日本語が怪しい感じだったので大丈夫かな? とは思いつつ、まあ値段もそんなにしないしダメもとで買ってみたのだけど、今のところ問題なく安定して動作しているのでよいケーブルだと思う。
ただ、ライザーケーブルに問題がなくても、M.2スロットの位置によっては物理的にうまくいかないかもしれない。例えば、ライザーのケーブルが短すぎたり長すぎたり、そもそもカードを裏返しにうまく適当なブラケットに取り付けて接続できるかなど、やはりうまくいくかは実際にやってみないと分からない部分が多いとは思う。
本来はマザーボードを選ぶときにPCIeスロットなどの仕様をしっかり確認しておけば、こんな無茶をしなくても済むと思うが、今回のZ690マザーは発売初日にとりあえずあるものを買った感じなのでしゃーなし。
ライザーケーブルでM.2を汎用のPCIe3x4に転用できるということで、実験としては成功したし、面白かった。
CPU | Core i5 7500 |
---|---|
コア数 | 4C/4T |
最大クロック | 3.6GHz |
冷却 | GELID SlimHero |
マザー | Asrock H270M Pro4 |
メモリ | DDR4-2400 8GBx4 |
SSD1 | SanDisk SDSSDXPS480G |
SSD2 | Corsair MP510 1.92TB x2 |
SSD3 | Sandisk SDSSDH3 4T00 4TBx3 |
LAN | Intel X550-T2 |
OS | Win 10 x64 Pro |
ケース | InWin IW-CE685/300P |
電源 | ケース付属 |
通常の1GbEでネットワーク内の他のPCからアクセスしているほか、Intel X550-T2による10GbEカードを追加していて、i9 12900KのPCと5950XのPCに接続している。
i9 12900KのPCにも10GbEカードを追加して接続しているが、これが10GbEをフルに活用しきれていなかったので、これを改善したという話。
アクセス側のi9 12900Kの構成はこんな感じで、ASUS XG-C100Cという10GbEカードを使用している。
CPU | Core i9 12900K |
---|---|
コア数 | 8P+8E/24T |
最大クロック | 5.2GHz |
冷却 | Corsair iCUE H150i RGB Pro |
マザー | MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4 |
メモリ | DDR4-3600 8GBx4 |
SSD1 | Plextor M10PGN 1TB |
SSD2 | Plextor M8PeGN 1TB |
LAN | ASUS XG-C100C |
OS | Win 11 x64 Pro |
ケース | Thermaltake Core V71 |
電源 | Seasonic FOCUS PX-750 |
どんな感じの速度だったかというとこんな感じで、Corsair Force MP510 1.92TB x2のディスクにアクセスして830MB/sが最大と、10GbEの上限1250MB/sからはかなり落ちてしまっている。まあ、このぐらいの速度でも問題はないけど、ちょっともったいない。

ネットワークを介さず、直接測定するとこんな感じなので、NVMe SSDなので速度は十分のはず。

なんで速度が落ちてしまっているかというと、本来PCIe3x4接続のASUS XG-C100CをPCIe3x1スロットにさしてしまっているから。
Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の拡張スロットはこんな感じで、一番下のスロットにASUS XG-C100Cをつけて使っていた。
PCIe_1: RTX2070
PCIe_2: 空き
PCIe_3: GTX1060
PCIe_4: ASUS XG-C100C

ところが、Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4の拡張スロットのリンク幅は下記のようになっていて、一番下のPCIe_4はPCIe3x1で、やはり10GbEには帯域が足りなくなってしまっていた。

Z690マザーは全体的にPCIe帯域をM.2に振り分ける傾向が強く、PCIeスロットの帯域が狭かったり、そもそもPCIeスロットが少なかったりする。
10GbEをフル活用するには、とにかくPCIe3x4接続をしないといけない。GTX1060と入れ替えることも考えたが、今回はM.2からPCIe3x4を引き出すケーブルを使って、余っているM.2スロットを活用することにした。
使用した変換(ライザー)ケーブルはADT-Linkというところのこちらの15cmのもの。中国発送で1週間ちょっとで到着した。
全長は15cm。(ほかに10cm版と30cm版があるらしい)

M.2側にこちらの端子をつなぐ。

こちらがPCIe3x4側。補助電源(?)をつなぐ端子がある。

このPCIe3x4側にASUS XG-C100Cをつなげばいいのだけど、そのままではこのケーブルを接続できるスペースがない(マザーにぶつかるので)。
そこで、まずもともとのブラケットを取り外し、使っていなかった1GbEx4のLANカードの適当なブラケットにひっくり返して180°反対向きに取り付けた。このブラケットにしたのは、穴が大きく空いていて、ねじ穴に合わせて自由に位置を調整できるため。
本来のものではないので、ブラケット側はすかすかだが、まあ気にしない。

固定は長めのねじとウォッシャー、あとは結束バンドを使用した。やや無理やり感はあるけど、ぐらつくことなくしっかり固定できたのでよしとした。裏から見るとこんな感じ。

そして、これをPCに固定。M.2_2からケーブルを伸ばし、ちょうどPCIe_2の位置の上に設置。ケーブル長は15cmでぎりぎりなので、10cmを購入していたらアウトだった…。

変換ケーブルはかなり固めで取り回しは悪い。左右のGPUとの間隔は1スロット分なのでぎりぎり。油断すると右側のGPUファンと接触してしまうので注意する必要があった。

なお、このケーブルには給電用の補助電源端子が追加であるのだけど、今回はこの給電用のケーブルは使用しなくても問題なかった。もっと電力を食うGPUとかを付けたら必要になるのかもしれない。その場合には、1スロット分の厚みは間違いなく超えるので注意が必要。
HWiNFOで接続状態を確認すると、たしかにPCIe3x4で接続出てきていて、ひとまずうまくいったみたい。

この状態で、先ほどと同じようにベンチマークをするとこんな感じ。Corsair Force MP510 1.92TB x2のディスクにアクセスして1200MB/s近く出ていて、10GbEの上限近い速度が出るようになった。

参考までにRecieve Side Scaling(受信側スケーリング、RSS)のon/offと、Jumbo Packetの1.5K/9Kをそれぞれ試した時の速度はこんな感じ。微妙な差ではあるが、やはりセオリー通りJumbo Packetは可能なら9Kに設定したほうがよいようだ。
Jumbo Packet | |||
---|---|---|---|
1.5K | 9K | ||
RSS | on | ![]() | ![]() |
off | ![]() | ![]() |
Sandisk SDSSDH3 4T00 4TBx3のほうにアクセスするとこんな感じで、こちらも10GbEの上限近く出ている。SATA SSDでも3枚束ねれば10GbEをフル活用できるようだ。

参考までに2.5GbEでアクセスした場合の速度も測った。アクセス側のPCは下記構成で、オンボードの2.5GbE (Realtek RTL8125) を使用した。
CPU | R9 5950X |
---|---|
コア数 | 16C/32T |
最大クロック | 5.0GHz |
冷却 | Fractal Design Celsius+ S28 Prisma |
マザー | Gigabyte B550 AORUS Master |
メモリ | DDR4-3600 16GBx2 |
SSD1 | Plextor M9PeGN 1TB |
LAN | Realtek RTL8125 2.5GbE (オンボード) |
OS | Win 11 x64 Pro |
ケース | Fractal Design Define 7 Compact LightTG |
電源 | Seasonic FOCUS PX-750 |
まずはCorsair Force MP510 1.92TB x2のディスクから。上限は300MB/sぐらいのようだ。

次にSandisk SDSSDH3 4T00 4TBx3のほう。

というわけで、無事10GbEの上限近い速度を引き出すことができ、性能をフル活用することができるようになった。もちろんPCIe3x4以上のスロットが空いていれば、そこにさせばよいわけだが、空いていない場合は今回のようなやや無茶なことをすればM2スロットに来ているPCIe3x4を活用しても性能を引き出せることがわかった。
ライザーケーブルに関しては、こうしたライザーケーブルは仕様や品質によってはデバイスを認識しなかったり安定動作しない場合もあるみたい。今回のケーブルはamazonの商品説明の日本語が怪しい感じだったので大丈夫かな? とは思いつつ、まあ値段もそんなにしないしダメもとで買ってみたのだけど、今のところ問題なく安定して動作しているのでよいケーブルだと思う。
ただ、ライザーケーブルに問題がなくても、M.2スロットの位置によっては物理的にうまくいかないかもしれない。例えば、ライザーのケーブルが短すぎたり長すぎたり、そもそもカードを裏返しにうまく適当なブラケットに取り付けて接続できるかなど、やはりうまくいくかは実際にやってみないと分からない部分が多いとは思う。
本来はマザーボードを選ぶときにPCIeスロットなどの仕様をしっかり確認しておけば、こんな無茶をしなくても済むと思うが、今回のZ690マザーは発売初日にとりあえずあるものを買った感じなのでしゃーなし。
ライザーケーブルでM.2を汎用のPCIe3x4に転用できるということで、実験としては成功したし、面白かった。
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