Alderlake i9 12900K ベンチマーク (簡易水冷)

Corsairの360mm簡易水冷(Corsair iCUE H150i RGB PRO XT CW-9060045-WW)のLGA1700リテンションキット(というかねじ)が届き、これを使って12900Kを簡易水冷化した

低電圧化していれば空冷でもほぼThermal Throttolingは起こっていなかったので、簡易水冷への変更前後でベンチマーク結果はあまり変わらないだろうなとは思いつつ、再度一通りベンチマークをとってみた。

結果は予想通りで、まあほとんど変わらなかったけど、念のため確認したということで。

※基本的には本文もあまり変えていないので、前回の記事を読んだ方はスルーでOKかもです。

比較環境



前回のベンチマーク記事に12900Kの簡易水冷環境を追加。

CPUi9 12900Ki7 11700Ki9 7980XE
8P8E
簡易水冷
低電圧化
8P8E
空冷
低電圧化
8P8E
空冷
8P0E
空冷
Unlimited定格PL240W定格
コア数8P+8E
24T
8P+0E
16T
8C/16T18C/36T18C/36T
L2 Cache14MB10MB4MB18MB
L3 Cache30MB16MB24.75MB
Boost5.2GHz4.9GHz4.5GHz
AVX512Auto4.2GhzAuto
OCOffset
-0.13V
DefaultDefaultDefaultOCDefault
Core VoltageAutoAutoAdaptive
1.175+0.01
Auto
PL1241WUnlimited125W240W165W
PL2241WUnlimited251W
tau56sUnlimited56s
IccMaxUnlimitedUnlimitedAuto
Uncore? MHz (Auto)4100MHz3000MHz2000MHz
メモリDDR4-3600 2chDDR4-3600 2chDDR4-3600 4ch
メモリ容量8GBx416GBx28GBx4
タイミング16-19-19-39-118-22-22-45-216-19-19-39-1
メモリ FCLKGear1Gear1Gear2
マザーMSI MAG
Z690 TOMAHAWK
WIFI DDR4
Gigabyte
Z590I AORUS
ULTRA (F5a)
Asrock
X299 OC Formula
冷却Corsair
iCUE H150i
RGB PRO
Noctua
NH-D14
Thermaltake
Water 3.0 Riing
Edition 280
Corsair
iCUE H150i RGB PRO
電源Seasonic
FOCUS PX-750
Seasonic
SS-620GB
Seasonic
FOCUS PX-750
ケースThermaltake
Core V71
Phanteks
Evolv Shift X
Thermaltake
Core V71
OSWindows 11Windows 11Windows 11


次にAMD環境。5950XのPBO+COは、PBOを有効にしてさらにCurve Optimizerを使って性能向上を図ったもの。PPTは200W。

「R7 5800X (偽)」は5950XをBIOSから1CCDのみ有効とし8コアCPUとして疑似5800Xとして動作させたもの。

CPUR9 5950XR7 5800X (偽)R7 3700X
定格PBO+CO定格定格
コア数16C/32T8C/16T8C/16T
L2 Cache8MB4MB4MB
L3 Cache64MB32MB32MB
Boost5.0GHz5.0GHz4.4GHz
OCDefaultPBO+CODefaultDefault
Core VoltageAutoAutoAutoAuto
PPT142W200W142W88W
TDC/IccMax95A150A95A60A
EDC140A190A140A90A
Offset+200MHz
CO-10/-15/-25
Uncore1800MHz1800MHz1800MHz
メモリDDR4-3600 2chDDR4-3600 2chDDR4-3600 2ch
メモリ容量16GBx216GBx28GBx2
タイミング19-20-20-40-119-20-20-40-120-23-23-45-1
メモリ FCLK1:11:11:1
マザーGigabyte
B550 AORUS Master
Gigabyte
B550 AORUS Master
Asrock
X570 Steel Legend
冷却Fractal Design
Celsius+ S28 Prisma
Fractal Design
Celsius+ S28 Prisma
Noctua
NH-D14
電源Seasonic
FOCUS PX-750
Seasonic
FOCUS PX-750
ENERMAX
EPM600AWT
ケースFractal Design
Define 7 Compact LightTG
Fractal Design
Define 7 Compact LightTG
Antec P100
OSWindows 11Windows 11Windows 11


使用ソフト
Cinebench R15, R20, R23
7zip 19.00
Aviutl 1.00 / x264guiEx 2.68 / x265guiEx 3.102 / svtav1guiEx 0.07
x264 rev3075 x64
x265 3.5+13 x64
y-cruncher 0.7.8 9507



Cinebench R23, R20, R15



Cinebench R23。マルチスレッドのほうは10分実行して平均をとるモードを使用している。

12900Kは5950Xの定格をしっかり上回る性能だが、PBOを使用した5950Xには及ばない感じ。

過去のIntel製品と比べると4年前のCore-Xシリーズの7980XE(18コア)やわずか半年前のRocketlake(11700K)を完全に過去のものとする性能で、なんと11700Kの倍以上のスコアとなっている。また、12900KのE-core無効時を見ると、それでも11700Kの1.5倍になっていて、GoldenCoveコア(P-core)がいかに強化されているかがうかがえる。

E-core無効と有効とを比べるとスコアが約1.5倍になっていて、E-coreの寄与が大きいこともわかる。

シングルスレッドのほうを見ると、12900Kのシングルスレッドはついに2000を超えており、Rocketlakeからは大きくスコアが向上している。12900Kのクロックの高さも相まってシングルスレッドは5950Xにも圧勝していて、GoldenCoveコアの優秀さが発揮されている。

E-core無効とするとシングルスレッドが落ちてしまうのがちょっとよくわからないが、E-core有効時はE-coreで動作していたわずかなバックグラウンド処理がP-coreで動く分、クロックが上がりにくくなるのかもしれない。

R23のマルチスレッドで微妙に簡易水冷のほうが速くなっているが、それ以外はほぼ変化なし。

i9_12900K_20211115_benchmark_cinebenchr23.png



Cinebench R20。だいたいの傾向はR23と同じ。

i9_12900K_20211115_benchmark_cinebenchr20.png



R20/R23と比べると、なぜかi9 12900Kのスコアが少し悪い。12900Kは5950X定格の近いところまで伸びているが、やや低いことがわかる。低電圧化でスコアが落ちてしまうのは謎。

i9_12900K_20211115_benchmark_cinebenchr15.png



7zip 19.00



7zipはなぜかRyzenが圧倒的に強く(キャッシュの量とかの問題?)、Rocketlakeからはだいぶ良くなったとはいえ12900Kは5950Xに完敗。なんならついでに7980XEにも追いつけていない。キャッシュ量とかP-coreの数が重要なテストなのだろうか?

decompressはE-coreの有無でかなりスコアに差が出る一方で、compressのほうはほとんど差がないのも面白い。

ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

i9_12900K_20211115_benchmark_7zip.png



y-cruncher 0.7.8 9507



SIMD-fpを酷使しつつメモリ帯域も重要とされるy-cruncher。この表だけ単位が計算時間なので値が小さいほど速い。

ここではAVX512が使用でき、メモリ4chの7980XEがトップ。AVX512が使えるはずのRocketlakeがなぜかいまいちなのだが、それと比べると12900Kは大幅に高速化している。それでも、5950Xには及ばない感じ。

ただ、他所のベンチマークを見ると、このアプリではDDR5効果が大きいらしいので、DDR5使用なら12900Kはもっと頑張れるのかもしれない。

ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

i9_12900K_20211115_benchmark_ycruncher.png



x264



本題のx264。グラフがとても長いのは許してほしい。

Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x264guiExで出力。

基本的に12900Kは定格のRyzen 5950Xと同等ぐらいのようで、プリセットによって微妙に速かったり遅かったりしている。ただ、PBO有効の5950Xには及ばない模様(といってもさほど大きな差ではない)。

E-core無効時と比較するとultrafastを除き大きな速度差があり、E-coreの効果が大きいことが確認できる。

Rocketlake(11700K)は大変悲しい感じで、重めのプリセットでは2倍弱の差をつけられている。まあ半年でAlderlakeが出るのがわかっていたとはいえ、ここまで差があると存在意義が…。

ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

i9_12900K_20211115_benchmark_x264.png



x265



次にx265 8bit。Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x265guiExで出力。

これもほぼ傾向はx264と同じだが、12900Kがx264と比べるとやや伸びが悪い印象。E-core無効時と比較するとx264の時と比べて性能差が小さく、E-coreがx265を苦手としているのかもしれない。その結果、特に軽めのプリセットではより5950X有利という感じに見える。また、オーバークロックした7980XEが結構頑張っていて、12900Kの近いところまで来ている。

x265は簡易水冷化で若干高速化している気がする。ただ、ごくわずかで大きな差ではない。

i9_12900K_20211115_benchmark_x265_8bit.png



x265 10bit。これも8bitと同様の傾向。

i9_12900K_20211115_benchmark_x265_10bit.png



SVT-AV1





svt-av1(8bit)。Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、svtAV1guiExで出力。

これは比較的Alderlake 12900Kが強く、ほとんどのプリセットでPBO有効の5950Xよりも速い結果になっている。

ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

i9_12900K_20211115_benchmark_svtav1_8bit.png



最後にsvt-av1(10bit)。P4でも2fpsを超え、12900Kがかなり速い。すべてのプリセットでPBO有効の5950Xを上回っている。

i9_12900K_20211115_benchmark_svtav1_10bit.png



終わりに



念のため、簡易水冷化の効果を確認した。

結局、簡易水冷化の前後でスコアに差はほとんどなかったが、低電圧化した状態では12900Kが空冷でぎりぎりThermal Throttolingを起こさないぐらいにはなっていたので、まあ妥当な結果といえると思う。

ただ、簡易水冷化の意味がなかったかというとそんなことはなくて、CPU温度を90℃以上行ってしまうことがあったのを80℃以下に抑えられるようになった。しかもそれをファンの回転数をかなり下げた状態でそんな感じなので、エンコーダ中でもかなり静かに運転できるようになったので、簡易水冷化してよかったと思う。

ちなみに簡易水冷の3連ファンの回転数はCorsairのiCueからの制御ではなくて、マザーボードから制御させているけどこんな感じ。80℃で60%としても十分冷えるようだ。(そもそもCorsairの簡易水冷ファンの100%は2000回転を超えるのですごくうるさい)

i9_12900K_AIO_fanspeed.jpg
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