Alderlake i9 12900K ベンチマーク (簡易水冷)
Corsairの360mm簡易水冷(Corsair iCUE H150i RGB PRO XT CW-9060045-WW)のLGA1700リテンションキット(というかねじ)が届き、これを使って12900Kを簡易水冷化した。
低電圧化していれば空冷でもほぼThermal Throttolingは起こっていなかったので、簡易水冷への変更前後でベンチマーク結果はあまり変わらないだろうなとは思いつつ、再度一通りベンチマークをとってみた。
結果は予想通りで、まあほとんど変わらなかったけど、念のため確認したということで。
※基本的には本文もあまり変えていないので、前回の記事を読んだ方はスルーでOKかもです。
比較環境
前回のベンチマーク記事に12900Kの簡易水冷環境を追加。
次にAMD環境。5950XのPBO+COは、PBOを有効にしてさらにCurve Optimizerを使って性能向上を図ったもの。PPTは200W。
「R7 5800X (偽)」は5950XをBIOSから1CCDのみ有効とし8コアCPUとして疑似5800Xとして動作させたもの。
使用ソフト
Cinebench R15, R20, R23
7zip 19.00
Aviutl 1.00 / x264guiEx 2.68 / x265guiEx 3.102 / svtav1guiEx 0.07
x264 rev3075 x64
x265 3.5+13 x64
y-cruncher 0.7.8 9507
Cinebench R23, R20, R15
Cinebench R23。マルチスレッドのほうは10分実行して平均をとるモードを使用している。
12900Kは5950Xの定格をしっかり上回る性能だが、PBOを使用した5950Xには及ばない感じ。
過去のIntel製品と比べると4年前のCore-Xシリーズの7980XE(18コア)やわずか半年前のRocketlake(11700K)を完全に過去のものとする性能で、なんと11700Kの倍以上のスコアとなっている。また、12900KのE-core無効時を見ると、それでも11700Kの1.5倍になっていて、GoldenCoveコア(P-core)がいかに強化されているかがうかがえる。
E-core無効と有効とを比べるとスコアが約1.5倍になっていて、E-coreの寄与が大きいこともわかる。
シングルスレッドのほうを見ると、12900Kのシングルスレッドはついに2000を超えており、Rocketlakeからは大きくスコアが向上している。12900Kのクロックの高さも相まってシングルスレッドは5950Xにも圧勝していて、GoldenCoveコアの優秀さが発揮されている。
E-core無効とするとシングルスレッドが落ちてしまうのがちょっとよくわからないが、E-core有効時はE-coreで動作していたわずかなバックグラウンド処理がP-coreで動く分、クロックが上がりにくくなるのかもしれない。
R23のマルチスレッドで微妙に簡易水冷のほうが速くなっているが、それ以外はほぼ変化なし。

Cinebench R20。だいたいの傾向はR23と同じ。

R20/R23と比べると、なぜかi9 12900Kのスコアが少し悪い。12900Kは5950X定格の近いところまで伸びているが、やや低いことがわかる。低電圧化でスコアが落ちてしまうのは謎。

7zip 19.00
7zipはなぜかRyzenが圧倒的に強く(キャッシュの量とかの問題?)、Rocketlakeからはだいぶ良くなったとはいえ12900Kは5950Xに完敗。なんならついでに7980XEにも追いつけていない。キャッシュ量とかP-coreの数が重要なテストなのだろうか?
decompressはE-coreの有無でかなりスコアに差が出る一方で、compressのほうはほとんど差がないのも面白い。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

y-cruncher 0.7.8 9507
SIMD-fpを酷使しつつメモリ帯域も重要とされるy-cruncher。この表だけ単位が計算時間なので値が小さいほど速い。
ここではAVX512が使用でき、メモリ4chの7980XEがトップ。AVX512が使えるはずのRocketlakeがなぜかいまいちなのだが、それと比べると12900Kは大幅に高速化している。それでも、5950Xには及ばない感じ。
ただ、他所のベンチマークを見ると、このアプリではDDR5効果が大きいらしいので、DDR5使用なら12900Kはもっと頑張れるのかもしれない。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

x264
本題のx264。グラフがとても長いのは許してほしい。
Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x264guiExで出力。
基本的に12900Kは定格のRyzen 5950Xと同等ぐらいのようで、プリセットによって微妙に速かったり遅かったりしている。ただ、PBO有効の5950Xには及ばない模様(といってもさほど大きな差ではない)。
E-core無効時と比較するとultrafastを除き大きな速度差があり、E-coreの効果が大きいことが確認できる。
Rocketlake(11700K)は大変悲しい感じで、重めのプリセットでは2倍弱の差をつけられている。まあ半年でAlderlakeが出るのがわかっていたとはいえ、ここまで差があると存在意義が…。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

x265
次にx265 8bit。Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x265guiExで出力。
これもほぼ傾向はx264と同じだが、12900Kがx264と比べるとやや伸びが悪い印象。E-core無効時と比較するとx264の時と比べて性能差が小さく、E-coreがx265を苦手としているのかもしれない。その結果、特に軽めのプリセットではより5950X有利という感じに見える。また、オーバークロックした7980XEが結構頑張っていて、12900Kの近いところまで来ている。
x265は簡易水冷化で若干高速化している気がする。ただ、ごくわずかで大きな差ではない。

x265 10bit。これも8bitと同様の傾向。

SVT-AV1
svt-av1(8bit)。Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、svtAV1guiExで出力。
これは比較的Alderlake 12900Kが強く、ほとんどのプリセットでPBO有効の5950Xよりも速い結果になっている。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

最後にsvt-av1(10bit)。P4でも2fpsを超え、12900Kがかなり速い。すべてのプリセットでPBO有効の5950Xを上回っている。

終わりに
念のため、簡易水冷化の効果を確認した。
結局、簡易水冷化の前後でスコアに差はほとんどなかったが、低電圧化した状態では12900Kが空冷でぎりぎりThermal Throttolingを起こさないぐらいにはなっていたので、まあ妥当な結果といえると思う。
ただ、簡易水冷化の意味がなかったかというとそんなことはなくて、CPU温度を90℃以上行ってしまうことがあったのを80℃以下に抑えられるようになった。しかもそれをファンの回転数をかなり下げた状態でそんな感じなので、エンコーダ中でもかなり静かに運転できるようになったので、簡易水冷化してよかったと思う。
ちなみに簡易水冷の3連ファンの回転数はCorsairのiCueからの制御ではなくて、マザーボードから制御させているけどこんな感じ。80℃で60%としても十分冷えるようだ。(そもそもCorsairの簡易水冷ファンの100%は2000回転を超えるのですごくうるさい)
低電圧化していれば空冷でもほぼThermal Throttolingは起こっていなかったので、簡易水冷への変更前後でベンチマーク結果はあまり変わらないだろうなとは思いつつ、再度一通りベンチマークをとってみた。
結果は予想通りで、まあほとんど変わらなかったけど、念のため確認したということで。
※基本的には本文もあまり変えていないので、前回の記事を読んだ方はスルーでOKかもです。
比較環境
前回のベンチマーク記事に12900Kの簡易水冷環境を追加。
CPU | i9 12900K | i7 11700K | i9 7980XE | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8P8E 簡易水冷 低電圧化 | 8P8E 空冷 低電圧化 | 8P8E 空冷 | 8P0E 空冷 | Unlimited | 定格 | PL240W | 定格 | |
コア数 | 8P+8E 24T | 8P+0E 16T | 8C/16T | 18C/36T | 18C/36T | |||
L2 Cache | 14MB | 10MB | 4MB | 18MB | ||||
L3 Cache | 30MB | 16MB | 24.75MB | |||||
Boost | 5.2GHz | 4.9GHz | 4.5GHz | |||||
AVX512 | Auto | 4.2Ghz | Auto | |||||
OC | Offset -0.13V | Default | Default | Default | OC | Default | ||
Core Voltage | Auto | Auto | Adaptive 1.175+0.01 | Auto | ||||
PL1 | 241W | Unlimited | 125W | 240W | 165W | |||
PL2 | 241W | Unlimited | 251W | |||||
tau | 56s | Unlimited | 56s | |||||
IccMax | Unlimited | Unlimited | Auto | |||||
Uncore | ? MHz (Auto) | 4100MHz | 3000MHz | 2000MHz | ||||
メモリ | DDR4-3600 2ch | DDR4-3600 2ch | DDR4-3600 4ch | |||||
メモリ容量 | 8GBx4 | 16GBx2 | 8GBx4 | |||||
タイミング | 16-19-19-39-1 | 18-22-22-45-2 | 16-19-19-39-1 | |||||
メモリ FCLK | Gear1 | Gear1 | Gear2 | |||||
マザー | MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4 | Gigabyte Z590I AORUS ULTRA (F5a) | Asrock X299 OC Formula | |||||
冷却 | Corsair iCUE H150i RGB PRO | Noctua NH-D14 | Thermaltake Water 3.0 Riing Edition 280 | Corsair iCUE H150i RGB PRO | ||||
電源 | Seasonic FOCUS PX-750 | Seasonic SS-620GB | Seasonic FOCUS PX-750 | |||||
ケース | Thermaltake Core V71 | Phanteks Evolv Shift X | Thermaltake Core V71 | |||||
OS | Windows 11 | Windows 11 | Windows 11 |
次にAMD環境。5950XのPBO+COは、PBOを有効にしてさらにCurve Optimizerを使って性能向上を図ったもの。PPTは200W。
「R7 5800X (偽)」は5950XをBIOSから1CCDのみ有効とし8コアCPUとして疑似5800Xとして動作させたもの。
CPU | R9 5950X | R7 5800X (偽) | R7 3700X | |
---|---|---|---|---|
定格 | PBO+CO | 定格 | 定格 | |
コア数 | 16C/32T | 8C/16T | 8C/16T | |
L2 Cache | 8MB | 4MB | 4MB | |
L3 Cache | 64MB | 32MB | 32MB | |
Boost | 5.0GHz | 5.0GHz | 4.4GHz | |
OC | Default | PBO+CO | Default | Default |
Core Voltage | Auto | Auto | Auto | Auto |
PPT | 142W | 200W | 142W | 88W |
TDC/IccMax | 95A | 150A | 95A | 60A |
EDC | 140A | 190A | 140A | 90A |
Offset | +200MHz | |||
CO | -10/-15/-25 | |||
Uncore | 1800MHz | 1800MHz | 1800MHz | |
メモリ | DDR4-3600 2ch | DDR4-3600 2ch | DDR4-3600 2ch | |
メモリ容量 | 16GBx2 | 16GBx2 | 8GBx2 | |
タイミング | 19-20-20-40-1 | 19-20-20-40-1 | 20-23-23-45-1 | |
メモリ FCLK | 1:1 | 1:1 | 1:1 | |
マザー | Gigabyte B550 AORUS Master | Gigabyte B550 AORUS Master | Asrock X570 Steel Legend | |
冷却 | Fractal Design Celsius+ S28 Prisma | Fractal Design Celsius+ S28 Prisma | Noctua NH-D14 | |
電源 | Seasonic FOCUS PX-750 | Seasonic FOCUS PX-750 | ENERMAX EPM600AWT | |
ケース | Fractal Design Define 7 Compact LightTG | Fractal Design Define 7 Compact LightTG | Antec P100 | |
OS | Windows 11 | Windows 11 | Windows 11 |
使用ソフト
Cinebench R15, R20, R23
7zip 19.00
Aviutl 1.00 / x264guiEx 2.68 / x265guiEx 3.102 / svtav1guiEx 0.07
x264 rev3075 x64
x265 3.5+13 x64
y-cruncher 0.7.8 9507
Cinebench R23, R20, R15
Cinebench R23。マルチスレッドのほうは10分実行して平均をとるモードを使用している。
12900Kは5950Xの定格をしっかり上回る性能だが、PBOを使用した5950Xには及ばない感じ。
過去のIntel製品と比べると4年前のCore-Xシリーズの7980XE(18コア)やわずか半年前のRocketlake(11700K)を完全に過去のものとする性能で、なんと11700Kの倍以上のスコアとなっている。また、12900KのE-core無効時を見ると、それでも11700Kの1.5倍になっていて、GoldenCoveコア(P-core)がいかに強化されているかがうかがえる。
E-core無効と有効とを比べるとスコアが約1.5倍になっていて、E-coreの寄与が大きいこともわかる。
シングルスレッドのほうを見ると、12900Kのシングルスレッドはついに2000を超えており、Rocketlakeからは大きくスコアが向上している。12900Kのクロックの高さも相まってシングルスレッドは5950Xにも圧勝していて、GoldenCoveコアの優秀さが発揮されている。
E-core無効とするとシングルスレッドが落ちてしまうのがちょっとよくわからないが、E-core有効時はE-coreで動作していたわずかなバックグラウンド処理がP-coreで動く分、クロックが上がりにくくなるのかもしれない。
R23のマルチスレッドで微妙に簡易水冷のほうが速くなっているが、それ以外はほぼ変化なし。

Cinebench R20。だいたいの傾向はR23と同じ。

R20/R23と比べると、なぜかi9 12900Kのスコアが少し悪い。12900Kは5950X定格の近いところまで伸びているが、やや低いことがわかる。低電圧化でスコアが落ちてしまうのは謎。

7zip 19.00
7zipはなぜかRyzenが圧倒的に強く(キャッシュの量とかの問題?)、Rocketlakeからはだいぶ良くなったとはいえ12900Kは5950Xに完敗。なんならついでに7980XEにも追いつけていない。キャッシュ量とかP-coreの数が重要なテストなのだろうか?
decompressはE-coreの有無でかなりスコアに差が出る一方で、compressのほうはほとんど差がないのも面白い。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

y-cruncher 0.7.8 9507
SIMD-fpを酷使しつつメモリ帯域も重要とされるy-cruncher。この表だけ単位が計算時間なので値が小さいほど速い。
ここではAVX512が使用でき、メモリ4chの7980XEがトップ。AVX512が使えるはずのRocketlakeがなぜかいまいちなのだが、それと比べると12900Kは大幅に高速化している。それでも、5950Xには及ばない感じ。
ただ、他所のベンチマークを見ると、このアプリではDDR5効果が大きいらしいので、DDR5使用なら12900Kはもっと頑張れるのかもしれない。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

x264
本題のx264。グラフがとても長いのは許してほしい。
Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x264guiExで出力。
基本的に12900Kは定格のRyzen 5950Xと同等ぐらいのようで、プリセットによって微妙に速かったり遅かったりしている。ただ、PBO有効の5950Xには及ばない模様(といってもさほど大きな差ではない)。
E-core無効時と比較するとultrafastを除き大きな速度差があり、E-coreの効果が大きいことが確認できる。
Rocketlake(11700K)は大変悲しい感じで、重めのプリセットでは2倍弱の差をつけられている。まあ半年でAlderlakeが出るのがわかっていたとはいえ、ここまで差があると存在意義が…。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

x265
次にx265 8bit。Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、x265guiExで出力。
これもほぼ傾向はx264と同じだが、12900Kがx264と比べるとやや伸びが悪い印象。E-core無効時と比較するとx264の時と比べて性能差が小さく、E-coreがx265を苦手としているのかもしれない。その結果、特に軽めのプリセットではより5950X有利という感じに見える。また、オーバークロックした7980XEが結構頑張っていて、12900Kの近いところまで来ている。
x265は簡易水冷化で若干高速化している気がする。ただ、ごくわずかで大きな差ではない。

x265 10bit。これも8bitと同様の傾向。

SVT-AV1
svt-av1(8bit)。Aviutlでmpeg2 1080p 5203frame(sample_movie_1080p.mpg)をlwinput.auiで読み込み、svtAV1guiExで出力。
これは比較的Alderlake 12900Kが強く、ほとんどのプリセットでPBO有効の5950Xよりも速い結果になっている。
ここでも簡易水冷化前後でほぼ差はなし。

最後にsvt-av1(10bit)。P4でも2fpsを超え、12900Kがかなり速い。すべてのプリセットでPBO有効の5950Xを上回っている。

終わりに
念のため、簡易水冷化の効果を確認した。
結局、簡易水冷化の前後でスコアに差はほとんどなかったが、低電圧化した状態では12900Kが空冷でぎりぎりThermal Throttolingを起こさないぐらいにはなっていたので、まあ妥当な結果といえると思う。
ただ、簡易水冷化の意味がなかったかというとそんなことはなくて、CPU温度を90℃以上行ってしまうことがあったのを80℃以下に抑えられるようになった。しかもそれをファンの回転数をかなり下げた状態でそんな感じなので、エンコーダ中でもかなり静かに運転できるようになったので、簡易水冷化してよかったと思う。
ちなみに簡易水冷の3連ファンの回転数はCorsairのiCueからの制御ではなくて、マザーボードから制御させているけどこんな感じ。80℃で60%としても十分冷えるようだ。(そもそもCorsairの簡易水冷ファンの100%は2000回転を超えるのですごくうるさい)

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