Alderlake i9 12900Kは空冷でどこまで冷やせる? (続)

前回、大型空冷(Noctua NH-D14)を使用してもAlderlakeの発熱を処理しきれず、Thermal Throttlingが発生してしまい、All Core Turbo 4.9GHzを維持できず、4.6~4.7GHzまで低下してしまっていた。

今回、BIOS設定の見直しによって、相変わらずThermal Throttlingは発生するものの、4.8~4.9GHzで回せるようになった。




なんの設定かというと、まあ、なんのひねりもなく低電圧化するだけ、である。

設定自体は、BIOSの [ Core Voltage Mode ] を [ Advanced Offset Mode ] に変更し、下の行に表れる設定欄に入って設定する。

i9_12900K_cinebenchr23_10min_undervoltage_bios_01.jpg

VoltageのOffsetだと全体的に電圧を上げたり下げたりしかできないが、Advanced Offset Modeは「どのくらいの動作周波数の時にどのくらい電圧を上げ下げするか」を設定できる。

電圧下げをするときは、Offsetモードだと動作周波数の高いところはよいが、低いところで電圧不足になってしまったりといったことが起こってAdaptiveと併用してなんとか調整したりするが、Advanced Offset Modeはより細かく動作周波数ごとに調整できて便利。

びっくりしたのは今回どんどん下げていってもCinebench R23やOCCTが普通に動いてしまったこと。なんせWindowsの起動だけなら -0.18Vでも行けてしまった。

最終的に負荷時の安定性を考慮した設定が下のような感じで、最大で-0.13Vとし、動作周波数が低い領域ではあまり下げない、という風にしてみた。

i9_12900K_cinebenchr23_10min_undervoltage_bios_02.jpg

この設定でのCinebench R23 MT 10分実行中の様子がこんな感じ。なんと、全コア4.9GHzが1.21V前後で動いてしまった。感覚的には4.9GHzが1.2V前半で動いてしまうのはなかなかすごいように思う。改良されたIntel7プロセスの効果か、はたまたAlderlakeが高クロックでも動作しやすいアーキテクチャになっているのか…。

i9_12900K_cinebenchr23_10min_undervoltage_hwinfo.png
i9_12900K_cinebenchr23_10min_undervoltage_large.jpg

ただ、消費電力は200W弱でCPU Package温度は100℃ということで、空冷ではなおも厳しい状況。残念ながら多少時間的猶予はあるもののやはりCinebench開始からほどなくして100℃に達してしまいThermal throttloingが発生しており、4.8GHzと4.9GHzを行ったりきたりしていた。

それでも、低電圧化前は4.6GHzと4.7GHzの間で動作していたので、低電圧化により実質的にクロックが上昇し、その効果でCinebench R23 MTの10分平均スコアが26236→27145に上昇した。

Cinebench R23 MT実行中のCPUの周波数・温度・電力をモニタリングして、低電圧化の前後で比較するとこんな感じ。

i9_12900K_CinebenchR23_10min_UV_data.png

先ほども書いたように低電圧化後は4.8GHzと4.9GHzの間で動作していて、明らかに動作周波数が上昇している。電力については低電圧化により10W前後低下しているのが見て取れる。現状は空冷なので、簡易水冷の360mmとかを使えば100℃未満に抑えられそう。

電圧と温度については、低電圧化前後では変わっていないが、これは動作周波数が上がっているため、低電圧化分が相殺されたのだと思う。



というわけで低電圧化すると消費電力が減って動作周波数を上げられる場合がありそう、という感じ。

もちろんCPUにより個体差もあるだろうし、これ以上に低電圧化できたり、逆にできなかったりするケースもあるのだろうけど、うちの環境では100℃でぶん回せば空冷でもあとちょっとでAll Core Turboの4.9GHzを達成できそうなところまで来ている。

にしても-0.1V以上下げられるというのはなかなかだ。Autoというのはやはり安定して動くようかなり盛るものなのだろう。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

No title

水冷化のご予定があるのに空冷でここまで詳細に検証して頂いて大変参考になります。
ケースに収まりきる現実的な空冷クーラーではやはり200W+α程度が限界なんでしょうね。
AVXの安定性が気にはなりますが、電圧を下げて発熱を抑えクロックを上げる発想凄いです。

Re: No title

> 空冷クーラーではやはり200W+α程度が限界なんでしょうね。
そうですね、手元の感触ではそのように思います。

ただ逆に言うとそのぐらいまでは空冷でOKなので、Power Limitを下げるか、K付でないi9とかなら、空冷でも問題ないかもしれません。
プロフィール

rigaya

Author:rigaya
アニメとか見たり、エンコードしたり。
連絡先: rigaya34589@live.jp
github twitter

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
いろいろ
公開中のAviutlプラグインとかのダウンロード

○Aviutl 出力プラグイン
x264guiEx 3.xx
- x264を使用したH264出力
- x264guiExの導入紹介動画>
- x264guiExの導入
- x264guiExのエラーと対処方法>
- x264.exeはこちら>

x265guiEx
- x265を使用したH.265/HEVC出力
- x265guiExの導入>
- x265.exeはこちら>

QSVEnc + QSVEncC
- QuickSyncVideoによるHWエンコード
- QSVEnc 導入/使用方法>
- QSVEncCオプション一覧>

NVEnc + NVEncC
- NVIDIAのNVEncによるHWエンコード
- NVEnc 導入/使用方法>
- NVEncCオプション一覧>

VCEEnc + VCEEncC
- AMDのVCE/VCNによるHWエンコード
- VCEEnc 導入/使用方法>
- VCEEncCオプション一覧>

svtAV1guiEx
- SVT-AV1によるAV1出力
- svtAV1guiExの導入>
- SVT-AV1単体はこちら>

VVenCguiEx
- VVenCによるVVC出力
- VVenCguiExの導入>

ffmpegOut
- ffmpegを使用した出力
- ffmpegOutの導入>


○Aviutl フィルタプラグイン
自動フィールドシフト (ミラー)
- SSE2~AVX512による高速化版
- オリジナル: aji様

clfilters 
- OpenCLベースの複数のGPUフィルタ集
- 対応フィルタの一覧等はこちら

エッジレベル調整MT (ミラー)
- エッジレベル調整の並列化/高速化
- SSE2~AVX512対応
- オリジナル: まじぽか太郎様

バンディング低減MT (ミラー)
- SSE2~AVX512による高速化版
- オリジナル: まじぽか太郎様

PMD_MT
- SSE2~AVX512による高速化版
- オリジナル: スレ48≫989氏

透過性ロゴ (ミラー)
- SSE2~FMA3によるSIMD版
- オリジナル: MakKi氏

AviutlColor (ミラー)
- BT.2020nc向け色変換プラグイン
- BT.709/BT.601向けも同梱

○その他
Amatsukaze改造版
- AmatsukazeのAV1対応版

tsreplace
- tsの映像のみを置き換えて圧縮

rkmppenc
- Rockchip系SoCのhwエンコーダ

x264afs (ミラー)
- x264のafs対応版

aui_indexer (ミラー使い方>)
- lsmashinput.aui/m2v.auiの
 インデックス事前・一括生成

auc_export (ミラー使い方>)
- Aviutl Controlの
 エクスポートプラグイン版
 エクスポートをコマンドから

aup_reseter (ミラー)
- aupプロジェクトファイルの
 終了フラグを一括リセット

CheckBitrate (ミラー, 使い方, ソース)
- ビットレート分布の分析(HEVC対応)

チャプター変換 (使い方>)
- nero/appleチャプター形式変換

エッジレベル調整 (avisynth)
- Avisynth用エッジレベル調整

メモリ・キャッシュ速度測定
- スレッド数を変えて測定
- これまでの測定結果はこちら

○ビルドしたものとか
L-SMASH (ミラー)
x264 (ミラー)
x265 (ミラー)
SVT-AV1 (ミラー)

○その他
サンプル動画
その他

○読みもの (ミラー)
Aviutl/x264guiExの色変換
動画関連ダウンロードリンク集
簡易インストーラの概要

○更新停止・公開終了
改造版x264gui
x264guiEx 0.xx
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR