画質比較 (2020.03) 実写編

念願のIceLakeを入手したので、画質比較を行ってみた。あと3200Gも入手したのでついでにVCEもテスト。

IceLakeは前世代から比べるとかなり飛躍したいて、ちょっとびっくりするぐらい。一方VCEは…


環境・条件



テスト用の環境はこんな感じ。前の環境からソフトウェアやドライバのバージョンをアップデートしている。

>
x264
x265
nvenc
(1060)
nvenc
(2070)
qsv
(HSW)
qsv
(KBL)
qsv
(ICL)
vce
(Vega)
CPUi9 7980xe i3
4170
i7
7700K
i5
1035G7
R3
3200G
GPU - GTX
1060
RTX
2070
HDG
4400
HDG
630
Iris
Plus
Vega8
ドライバ 442.19 5058 7870764120.2.1
OS Win10 x64


使用ソフト

x264 r2988 x64
x265 3.3+2 x64
NVEncC 4.68 x64
QSVEncC 3.33 x64
VCEEncC 5.04 x64

入力
sample_movie_1080p.mpg
MPEG2 1920x1080 29.97fps 5203frame

使用コマンド
QSVEnc/NVEncについては、おそらく画質が一番高くなるであろうオプションを試した。x264/x265はきりがないのでpresetをそのまま使用している。

なお、x264/x265では、今回入れてない--tune ssimを入れてssimに最適化したエンコをすることでさらにssim的には改善の余地があることに注意。

x264 medium
--crf <x>

x264 veryslow
--crf <x> --preset veryslow

x265 medium
--crf <x>

x265 veryslow
--crf <x> --preset veryslow

x265 medium 10bit
--crf <x> --input-depth 10 --output-depth 10

x265 veryslow 10bit
--crf <x> --input-depth 10 --output-depth 10 --preset veryslow

nvenc H.264
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 --level 5.2

nvenc HEVC
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6

nvenc HEVC 10bit
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 --output-depth 10

nvenc HEVC + Bframes
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 -b 3

nvenc HEVC 10bit + Bframes
--vbrhq 0 --vbr-quality <x> --preset quality --weightp --bref-mode each --lookahead 32 -c hevc --level 6 --output-depth 10 -b 3

qsv H.264
--la-icq <x> --la-depth 60 -u 1

qsv HEVC
--icq <x> -u 1 -c hevc

qsv HEVC 10bit
--icq <x> -u 1 -c hevc --profile main10 --output-depth 10

vce H.264
--cqp <x>:<x>+2:<x>+5 -u slow
--vbr <x> -u slow

vce HEVC
--cqp <x>:<x>+2:> -u slow -c hevc
--vbr <x> -u slow -c hevc



結果



縦軸SSIM:Allが高いほど画質がよく、横軸ビットレートが小さいほど圧縮できているので、左上にいればいるほど良いことになる。

全データ (クリックで拡大)


まあ、正直線が多すぎてよくわかんない…。まあ、この数のデータとるの大変だったのが伝われば…というグラフ。


で、少しずつ見ていく。

まず、CPUエンコの比較。なお、--tune ssimを入れてないので、さらにssim的には改善の余地があることに注意。

特に低ビットレートではx265のほうが優位。ただまあ、もちろんその分エンコ時間がかかる。

やはりSSIM比較では10bitは明確に優位。正直もう8bitでバンディングとか気になるなら、HEVCの10bit使っとけばいいのではと思う。




本題のQSVの世代別比較。
HSW…Haswell
KBL…Kabylakeだが、CoffelakeもCometlakeも同じ。
ICL…Icelake

IcelakeのH.264はKabylakeのH.264とほぼ重なっている。つまり、IcelakeではH.264については手が入っていないみたい。

一方、HEVCは圧倒的だ…!もうなんか全く違うものが入っているとしか思えない。Kabylakeが2017年に登場してから3年もたっているとはいえ、大きな飛躍だと思う。(正直なんか間違ったんじゃないかと測りなおしたりした)

ssim2_202003_table_qsv.png


Icelakeでのpreset fast/normal/slowの比較。(さっきのグラフはslow)

HEVCのほうは、normalとslowの差がやや大きめ。H.264のほうはfastとnormalの差が大きめ。
ssim2_202003_table_qsv_icelake.png



一応ドライバ更新とかもしたので、NVENCのほうも再確認。てはいえ、前回(2018.11)とほぼ変わっていない。やはりBフレームが入ったHEVCは強い。
ssim2_202003_table_nvenc.png



QSV(Icelake)、NVENC(Turing)、VCE(Navi)の比較。

TuringのNVENCはKabylakeのQSVを超えるなかなかのものだったが、Icelakeはそれをもう一度ひっくり返した感じ。まあ、QSVのHEVCエンコードはNVENCのように爆速という感じではなくそれなりに時間がかかるし、QSVの実装はエンコード用の専用回路(ASIC)とGPUの演算器の併用方式なのに対して、NVENCとVCEは専用回路(ASIC)のみでの実装なので、QSVのほうが画質面では有利というのはあると思う。

VCEはまあ…。固定品質系のレート制御がない時点でこの比較は不利なのだが、それにしても…。うーん。

ssim2_202003_table_hwenc.png



最後にx264/x265とQSV(Icelake)の比較。

うーん、びっくりだ。もちろんx265で"--ssim"等のオプションを入れれば、x265のssimは上がるはず、というのを割り引いてもなかなかの結果だと思う(そもそもこんなに近くなると思ってなかったので、わざわざ普通やらない--tune ssimをx265エンコ時に入れるという発想がなかった)

ssim2_202003_table_qsvicl_x264_x265.png



というわけでざっくり画質比較をしてみた。なかなか出てこなかったIntel 10nmのCPU/GPUだけど、そのぶん(?)しっかり進化してKabylake世代からは大きく飛躍していた。いわゆるHWエンコとしてはなかなかの高画質(高圧縮)になっていると思う。

一方で、i5 1035G7に搭載されている64EUをぶん回しても、1080pのHEVC 10bitエンコ速度は50fps弱という感じで、エンコードがそこまで速いわけではない。なので、i5 1035G1とかのよりEU数が少ないGPUだともしかすると速度がもっと落ちてしまうかもしれない。
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No title

おつかれさまです
fluidmotionがあるとはいえ、AMDさんもうちょっと頑張って…

Navi? Vega?

vceのところに(Navi)と併記されていますが、
ピカソちゃんはVegaだったかと…
(何か勘違いしていましたらスミマセン)

No title

Picasso(3200G)は確かにVegaなんだけど、
Video Core Next搭載でVCE的にいうとNaviのほうに近いかと思います。

なお同じVCN世帯なのになぜかPicassoはFluid Motion利用できるがRDNAのNaviができない。まあVCEもFMVもマイナーの機能か…

>通りがかりさん

ありがとうございます。勉強になります〜。

Re:

ごめんなさい、単なる誤植です…。修正しました。

処理速度

お疲れさまです。
この比較をしたときのfpsは如何ほどでしたでしょうか?
2018.11と概ね変わらないような感じでしょうか?

QSVEnc AViUTL

QSVEncをAviutlにインストールしようとしてzipをVIRUSTOTALで検査するといくつかのエンジン(誤検出?)が検出しました、x264の方も1つのエンジンが検出しました。検出されないようにできませんか??
https://www.virustotal.com/gui/file/381cf0f82df6d86ad8b08189c4af41d09fc8c0ddbf4499cbc745f17855991e4b/detection

No title

> 処理速度
現在まとめていますので、少々お待ちください。

> QSVEnc AViUTL
ウイルス対策ソフトに関連する問題につきましては、VirusTotalを活用するなどして、それぞれの判断に基づき対処いただきますようお願いいたします。

No title

2枚目以降の画像が見られなくなっています><

Re: No title

ありがとうございます、修正しました!

No title

PicassoのiGPUはVegaといいつつ実質的にはPolarisだったような…?

2枚目の図が見られなくなってます><

No title

PCで閲覧していますが、
私の環境では見られるようです。

Re: No title

修正しました。

Tiger lakeの96EUだとIce lakeの64EUより少し早くなったりしますか?

Re: タイトルなし

可能性はありますが、申し訳ないですがTigerlakeを所持していないのでなんとも言えません…。

No title

お返事いただいていたのに、コメントせず申し訳ありません。
調べても分からないので、Tigerlake i7-1165G7を買ってしまいました。
qsv HEVC 10bit
--icq 23 -u 1 -c hevc --profile main10 --output-depth 10
1920×1080 : 63fps  135069flames

GPUはタスクマネージャーで9割弱使用しており、PC全体の消費電力は20W弱です。最初は70fps以上出ていたので放熱不足かと思います。
LAVIE N14 N1475という機種で、PC4-25600 8GBシングルチャネルだったり、放熱悪くTDP15Wでi7の価値がほとんどないですが・・・ちょっとだけ速いかもしれません。
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