Zen2のクロック当たりの速度比較

3700Xの優秀な性能はこれまでのベンチマークでばっちり確認できているが、1700→3700Xでは、アーキテクチャの進化によるIPC向上のほか、クロックの向上も含んで大きな性能向上を果たしている。

じゃあ、Zen/Zen+ → Zen2でクロック当たりの性能はどうなの、とか、IntelのCPUと比べるとクロック当たりの性能はどうなの、というのを見ていきたい。

問題はIntel CPUをどう比べるかで、9900Kを持っていれば話ははやいのだけど、残念ながら持っていないので、7980XEのコア数をBIOSで8コアに制限し、かつメモリを(物理的に)2chにして、これを「Intel SkylakeX 8コア CPU (仮称)」とすることにした。

え、キャッシュサイズがおかしい? 細かいことは気にしちゃだめだよ…。どこからどう見ても8コアCPUじゃないか↓(笑)

Taskmgr_7980XE_8core_2400.pngcpuz_7980XE_8core_2400.png



というわけで、ちょっとインチキくさいけど、8コア / 3.6GHz(固定) / DDR4-2400, 2chに統一して比較を行った。

CPU R7 3700X R7 1700 Intel 8コア CPU (仮称)
7980XE 8コア制限
コア 8C/16T
動作周波数 3.6GHz (固定)
Uncore N/A 3.0GHz
L3 32MB 16MB 24.75MB
RAM DDR4-2400 DDR4-2400 DDR4-2400
Timing
16-16-16-39-2 16-16-16-39-2 16-16-16-39-2
M/B Asrock AB350 Pro4 X299 OC Formula
OS Win10 x64 1903


使用したソフトウェア
Cinebench R15.037
Cinebench R20.060
y-cruncher 0.7.7
7-zip 19.00
x264 rev2969
x265 3.1+2



Cinebench



まずはRyzenが元から得意だったCinebech。

これについてはすでに1700のころからSkylakeXとほぼ同等の性能を発揮していたが、3700Xでさらに性能が向上し、突き放したという感じになっている。
benchmark_3700x_3_6GHz_cine_r15.png
benchmark_3700x_3_6GHz_cine_r20.png



y-cruncher



y-cruncherでπ計算を1b桁求める際の計算時間を比較。計算時間なので、値が小さいほど高速。

1700→3700XでSIMDが256bit化されたことで、大幅に高速化しているが、それよりもSkylakeXはまだ少し速い。これはSkylakeXがAVX512の効果が見えているからだと思われる。AVX512がなかったら逆転されてしまっていたかもしれない。

benchmark_3700x_3_6GHz_y_cruncher.png



x264



1080pのsample_movie_1080p.mpg(5203frame)を変換したときの速度を比較した。

1700のころは同クロックの比較ではSkylakeXに対しやや劣勢、だったのが、3700Xで逆転し明らかに優勢になっている。

benchmark_3700x_3_6GHz_x264.png



x265



こちらも1080pのsample_movie_1080p.mpg(5203frame)を変換したときの速度を比較した。

1700がSkylakeにかなり引き離されており、Zen/Zen+がx265が苦手とされるのがうなずける結果となっている。3700Xになり、AVX2が256bit化されたことでSkylakeXに追いつくことができている。ただ、x264のほうと比べるとその差はわずか、という印象になっていて、相変わらずx264と傾向が異なるのはやや不思議な感じがする。

benchmark_3700x_3_6GHz_x265.png



ちょっとIntel CPUの「8コアCPU」のでっち上げ方が無理矢理な感じはあるけど、同じコア数、同じクロック、同じメモリ速度で各CPUの比較を行ってみた。Skylake/Zen/Zen2の各アーキテクチャの同クロックでの性能差がはっきりわかると思う。結果、Zen2は同じクロックであればSkylakeXより高い性能を発揮できるケースが多いことがわかった。

他所の(定格の)ベンチマークでは、3700X vs 9900Kは勝ったり負けたり、という印象だったが、あれはやはり9900Kの高いクロック(Max 5.0GHz)が効いてなんとか引き分けに持ち込んでいるのかな、という感じのする結果になった。まあ、消費電力がその分高いわけなんだけど、それでも5.0GHz回ることは重要だと思う。

一方で、14++プロセスによる9900Kの高いクロックは、Intelにとっては大きな武器なのだけど、それが10nmの苦戦によって14nmのRefreshを延々と重ねなければならなかった結果得られたもので、なおかつ超えるべき高いハードルとして10nmの前に立ちはだかっていると思うと、なんだか皮肉な感じがしてしまう。

それにしてもクロック当たりの性能でAMDが逆転するというのは、ちょっと前までは考えられないことだと思う(Bulldozerのクロック当たりの性能は悲惨だった…)。

Ryzenの躍進によって、CPUが俄然面白くなってきていると思うし、Zen3/Zen4での今後のさらなる性能向上にも期待したい。
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非公開コメント

No title

avx512を有効にしたときのx265の比較にちょっと興味あったりします。。

Re: No title

たしかに、そうですね…。

次もしかしたら「16コアCPU対決」をやるかも…しれないので、その時にはAVX512ありなしも入れてみたいと思います。
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