今年はAV1エンコーダを搭載したGPUがどんどん出てきて、エンコーダをいろいろテストして、まあテストとか実装とかデータまとめたりとか疲れたけど、とても楽しい1年だった。
CPU
今年はZen4 7950Xを入手。
定格は熱いのだが、正直電力入れすぎな感じで、75℃に制限したり、PPT=125Wとかに設定してもあまり性能が落ちず、これでSVT-AV1でのエンコードをよくぶん回しているのだけど、静かでかつ5950Xよりかなり速くSWエンコードできるのでとても満足。もっとも、シングススレッドの点ではRaptorLakeのほうがよさそうで、このあたりはZen5での巻き返しを期待したい。
CPUとしては文句ないけど、やはりいわゆるスイートスポットを遠く離れていて、電力を投入している割に少ししか性能が上がっていないところまでデフォルトで引っ張るのはちょっとなあと思う。(まあZen4だけでなくRaptor/Alderもそうだけど)
性能が大きく変わるなら爆熱でも面白いかもだけど、今回のようにそれほど速度のメリットがないのに爆熱・爆音になっていると、使用感を損ねるほうが強く出てしまうように思うので、ちょっともったいない調整だと思う。
もちろん、それ自体は自分でPPT等をさわればよいだけではあって、それは自体は間違いなく簡単にできる。ただ、もうひとつ問題があって、この爆熱仕様の影響で、マザーの電力回路が完全にオーバースペック気味になってきていて、マザーの値段が爆上げしているのが残念。
ハイエンドマザーが高いのは当然としても、発売時の最も安いマザーでもあまりにも構成が豪華すぎで、そりゃそれだけ積めば高いよねという感想しか持てないので、より低価格な選択肢もちゃんと用意しておいてほしい。Zen4登場時、マザーが5万円からというのは円安を考慮しても勘弁して…。
GPU
AV1対応GPUが続々登場した年になって、いろいろエンコーダを弄り回して楽しかった!
GPU - Intel最初は遅れに遅れたIntel Arcで、しかも中国から発売だったので、中国jd.comで買って検証してみた。結果的に日本での発売時までにQSVEncをそこそこ動くところまで持っていけたので、先にゲットできてよかったと思う。
最初は不安定だったけど、ドライバの更新によりある程度安定して動作するようになった。AV1エンコーダも優秀だったが、特にHEVCエンコーダの画質ー容量比もよく、かつ高速なので、高速・高画質なHWエンコーダを搭載した比較的安価なGPUとしては非常に面白いと思う。
実際のA380のエンコーダとしての使用感は、ドライバが更新され、安定して動作するようになってからは悪くない、というか結構よさげ。エンコーダ自体の性能(画質ー容量比、速度)はかなり優秀だし、多少のフィルタをかける演算力もメモリ帯域もあるし、メモリ量も6GBとエンコードには十分。規模の小さいGPUなので、消費電力も少なく、大きくなく静かでよいと思う。
欲を言えば、まだ性能の割に値段が高いのでコスパがいいとは言えないこと、TDPに対し実消費電力が少ないことを思えば、本来はもっとGPUを小さく、また補助電源なしにもできそうなので、そのあたりはもったいないかなと思う。
GPUとしてどうかはわからん。
GPU - NVIDIA次にNVIDIAのGeforce RTX40xxが発売された。RTX4090は性能・消費電力・大きさ・値段のすべてにおいて超弩級。相対的にRTX4080は微妙な立ち位置だ。
こちらもAV1エンコーダが追加され、こちらもHWエンコーダとしてはかなり優秀な画質ー容量比となっている。ただ現時点ではあまりにも高いので、来年は下位の製品群が充実してくるのを期待したい。
実際にRTX4080を使ってみると、GPU性能は4090ほどではないにしても文句なく高く、また過剰気味な冷却装備のおかげでよく冷え、静かなのがよかった。また確かに最大消費電力は高い(300W以上)が、思ったより実消費電力は小さい場面が多い印象で、特にCUDAフィルタ等を使ってもそれほど消費電力は上がらず150W程度なので、不必要に電力は食わないようだ。
AV1エンコーダの画質はかなり優秀で、かつCUDAフィルタ等も使用できる。やはりGeforceは、CUDA関係のアプリが使用できることで、活用の幅が広いのがやはり他のGPUにはないメリットだと思う。
もっとも、登場時の私が買った時の値段はなかなかやばかった。もうGPUは安くならないとかあきらめてしまわずに、もうちょっと頑張ってほしいと思う。
GPU - AMD最後に来たのがRadeon RX7900XTX/XT。RTX4080に対しかなり演算力・メモリ帯域に優位性があり、かなり期待は高かったように思うが、残念ながら現時点ではそれが必ずしも十分に発揮されているようには見えない。
特に不思議なのは、4Kでのパフォーマンス。これまでいろいろなベンチマークでは、メモリ帯域が強いGPUが4Kでは優位となる傾向が繰り返されてきた。ところが、RX7900XTX/XTに関しては、なぜか4Kのほうが相対的に微妙な傾向があって、こうした上位クラスのGPUって本来高解像度で力を発揮することが期待されているのでは? と思うと、今後のドライバ更新等でパフォーマンスが改善されることを期待したい。
いまのところは、むしろチップレット構造による優れたコスパでアピールするタイプの製品のようだ。リファレンスモデルは比較的安価にはなっていたと思う。
RadeonもAV1エンコーダが追加されたが、これまでと比べればだいぶんと健闘してはいるものの、案の定というか、QSV/NVENCと比べると明確に下回る結果となってしまった。
個人的には、RX7900XTを買って、リファレンスモデルのデザインは気に入っているが、エンコーダに関して言うと…うーん。Arc A380とRTX4080があるなかで、あえてこれでエンコードしようという気は起きないので、正直本当にお高い検証機材と化してしまいそうで、ちょっと残念だ。
DRAM
当初高かったDDR5もだいぶ安くなってきた1年だったと思う。比較的高速なDDR5も充実してきたので、当初問題になったレイテンシの増大も、多少高速なDDR5を買うことで容易に対処できそう。
今年はZen4用にDDR5-6000, 32GBx2をゲットした。まあこのぐらいのものを買っておけば、長く使いまわせるかなと。
ストレージ
そろそろPCIe Gen5対応SSDが出てくるらしい。ただ、個人的にはそこまで必要ないので、安くなってきたGen4 SSDのほうが狙い目なように思う。
今年買ったCPU/GPU
| Intel CPU | AMD CPU | GeForce | Radeon | Arc |
2008 | C2Q6600 | | GT8600 | | |
2009 | i7 920 | | GT9600 | | |
2010 | Xeon W3680 | | | HD4350 | |
2011 | i5 2500 | | GTX460 | | |
2012 | i7 3770K | | | | |
2013 | i7 4770K | | GTX 660 | | |
2014 | i7 5960X | A10-7850K | | | |
2015 | i7 6700K Celeron N3150 | | GTX970 | | |
2016 | Celeron J3710 | | GTX1080 GTX1060 | RX 460 | |
2017 | i7 7700K i9 7980XE | R7 1700 | | | |
2018 | | | RTX2070 | | |
2019 | | R7 3700X R3 3200G | | | |
2020 | i5 1035G7 | | | | |
2021 | i7 11700K i9 12900K | R9 5950X | | RX5500XT | | 2022 | | R9 7950X | RTX4080 | RX7900XT | Arc A380 |
2023 | | | | | |
今年買いすぎでは?
来年
なにが来るのだろうか?
MetorLakeデスクトップには来ないだの、6P+16Eに減るとか、6P+8E構成しか来なくて結局本命は2024のArrowLakeだとかいう怪しげなうわさが。じゃあ来年はなに出すんや… Raptorちゃんはもう限界よ?
MeteorLakeはIntel4に移行するということなのだけど、やっぱりデスクトップ向けにはなるほどにはクロックが上がらないとかで苦しんでいるのだろうか。14nmや10nmも最初はそうだったし…。
クロック低下分はIPC上げで相殺して、あとはせっかくタイルで作るのならなら6P+8Eを2チップぺたぺたして12P+16Eにしてくれればよいのですよ? (超願望)
Zen5これも2024年なのだろうか。Zen4ではIPC増が控えめだったので、Zen5ではより大きなIPC向上に期待。
GPU基本的にはNVIDIAもAMDも下位ラインアップを充実させる年になるはずなので、あまり動きはないかも?
Battlemageは…どうなる!?
まあちょっと来年何が来るのかよくわかっていないけど、面白そうな新アーキとか出たら試してみたい。